2010年9月10日(金)「しんぶん赤旗」
法人減税 来年度から
菅首相が検討を指示
菅直人首相は9日、首相官邸で開かれた「新成長戦略実現会議」の初会合で、2011年度からの法人実効税率(国と地方の税率の合計)引き下げを検討するよう指示しました。
菅首相は会合で、「11年度予算編成・税制改正作業の中で検討して結論を得る」ことを指示。会議出席者からは、法人実効税率引き下げに対し強い要望が出されました。
経済産業省はすでに、11年度税制「改正」要望で、現行30%の法人税税率(国税)を5%引き下げることを要望しています。仮に法人税率を5%引き下げた場合、約1兆円の減収となる見込み。
菅首相は、雇用対策として、「雇用促進税制」の検討を指示。政府税制調査会に、「雇用促進税制」を検討するプロジェクトチームを設置することを求めています。
また、国内投資を促進するため、直嶋正行経済産業相の下に官民による円卓会議を置くことを指示しました。
「新成長戦略実現会議」は、菅首相が議長を務め、副議長を仙谷由人官房長官、荒井聡国家戦略担当相、直嶋経産相が務めます。構成メンバーは、野田佳彦財務相のほか、民間から米倉弘昌日本経団連会長ら財界3団体(日本経団連、経済同友会、日本商工会議所)の首脳や古賀伸明連合会長などが参加しています。
解説
大企業優遇さらに
透けて見える消費増税
菅直人首相が「新成長戦略実現会議」の初会合で、法人実効税率引き下げの検討を求めたことは、財界・大企業寄りの首相の姿勢を端的に示しています。
菅氏はすでに、民主党代表選挙の公開討論で、消費税を含む税制「改革」について、秋の臨時国会で「与野党間の議論の機運が高まることが望ましい」(2日)と述べています。
こうした菅氏の発言からは、“いっそうの法人税減税の財源に消費税増税を充てる”“そのための議論をこれから本格的に進める”という考えが透けて見えます。
大企業の実際の税負担は、研究開発減税など数々の優遇策を受け、法律で定められた税率(国と地方の合計)約40%をすでに大幅に下回っています。
いっそうの大企業優遇税制の穴埋めとしての消費税増税を許すかどうかが、秋の臨時国会、税制「改正」議論の焦点です。(山田英明)