2010年9月9日(木)「しんぶん赤旗」
地位利用し利権あさり
鈴木宗男被告実刑確定
金権政治の象徴
「疑惑のデパート」収監へ
「疑惑のデパート」とよばれた衆院議員鈴木宗男被告の事件発覚から8年。懲役2年の実刑が確定し、収監されることになりました。公判でもカネにまみれた実態が明らかにされながら、一貫して居直り続けてきた鈴木被告。政治をカネでゆがめた人物を衆院外務委員長の要職につけて恥じない政権与党の姿勢も問われています。(森近茂樹)
「ムネオ氏はとにかくマメ。おいしい利権があると自ら電話して、口利きをする」(自民党中堅幹部)。2002年、鈴木被告の次から次へと飛び出す疑惑を取材していたころ、よくこのような話を聞きました。
事件当時、自民党幹部で政府の要職も歴任していた鈴木被告は、その立場を利権あさりに利用してきました。
あっせん収賄罪となった林業会社からのわいろ受領は、北海道開発庁長官、官房副長官時代でした。その地位を利用して、行政処分を受けた林業会社の依頼で林野庁に口利きをしたのです。
さらに外務省に強い影響力を待つ外交族議員だった鈴木被告は、北方四島支援事業を食い物にするなど公共事業に介入しました。
この疑惑は、日本共産党国会議員団が先頭に立って追及。国後島に建設された「友好の家」がムネオハウスと呼ばれるほど、鈴木被告が建設入札に関与した疑惑を佐々木憲昭衆院議員が明らかにして疑惑解明を大きくすすめました。
さらに鈴木被告が使用していた高級車が、牛肉偽装事件で実刑判決を受けた大手食肉業「ハンナン」の浅田満元会長の関連企業名義であった事実も本紙の取材で明らかになりました。
まさに自民党の金権政治の象徴だった鈴木被告。利権にまみれたその政治資金が多くの自民党議員らに配られていたことも問題になりました。
ところが鈴木被告は、「国策捜査」の犠牲者にされたなどと、自らの疑惑に居直りを続けています。
一方で鈴木被告は、違法献金事件で秘書が起訴された小沢一郎民主党前幹事長にたいして「間違った権力とは断固たたかおう」(民主党大会での来賓あいさつ)などと共闘する姿勢をみせています。
衆院選後に与党入りした鈴木被告は、野党の強い批判を押し切って衆院外務委員長に選ばれました。
「政治とカネ」の問題にどう向き合おうとしているのか。小沢氏の疑惑解明に背を向けた民主党は、鈴木被告を重用した政治的道義的責任も重くのしかかります。
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