2010年9月9日(木)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 信者、わずか50人。フロリダ州の小さなキリスト教会と1人の牧師が、アメリカ中を不安に陥れています▼教会の名は、「ダブ・ワールド・アウトリーチ・センター」といいます。いわゆる保守派信者の集まりです。彼らが、9・11テロから9年目の11日に、イスラム教の聖典コーランを焼く集会を計画しています。その数200冊▼「イスラムは悪魔」と説くジョーンズ牧師は、腰に銃をぶら下げています。教会のホームページをみると、ハトが地球の上にはばたく図をあしらっています。平和の象徴ハト。教会名にある英語「ダブ」は、ハトをさすのです▼「ガソリンにマッチを投げ込むような行い」に、人々は危機感を募らせます。「世界中で、キリスト教徒とイスラム教徒の緊張をつよめる」。全米のキリスト教・イスラム教・ユダヤ教の代表、カトリックの総本山バチカンも、彼らを批判しました▼しかし、アフガンやインドネシアで、アメリカへの抗議運動が起こっています。米政府はコーラン焼き捨ての中止を求め、アフガンの米軍司令官は、「米兵を危険にさらす」と火の粉を払うのに懸命です▼ハトが平和の象徴となったいわれは、旧約聖書の物語です。神が、悪い人間たちを大洪水で滅ぼすため、正しい人のノアに箱舟をつくらせる。生き残ったノアの放ったハトが、オリーブの葉をくわえて戻り平和の知らせをもたらした―。ジョーンズ牧師らが、イスラム教徒を滅ぼすべきだと宣戦布告しているのなら、おそろしい考えです。





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