2010年9月5日(日)「しんぶん赤旗」
どうする「政治とカネ」
問われる政治的道義的責任
民主代表選
みずからの「政治とカネ」の問題で3カ月前に幹事長を辞任したばかりの小沢一郎氏と、「辞職という形でけじめをつけられた」と疑惑解明にフタをしてきた菅直人首相が対決する民主党代表選。国民から問われているのは「政治とカネ」にたいする小沢氏と同党の政治的道義的責任です。(「政治とカネ」取材班)
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小沢疑惑 核心はゼネコン献金
小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件が改めて問題になっています。疑惑の核心は、同氏の政治資金のかなりの部分が、税金を原資とする公共事業を受注している建設業界からのカネだという点です。
東京地検特捜部が小沢事務所から押収したパソコンには、ゼネコン別の献金データがありました。西松建設違法献金事件の公判で、東北地方の公共事業をめぐって恒常的にゼネコン献金を集めていたことが明らかにされました。
まさに税金の“還流”であり、この政治的道義的責任こそ問われるべきです。
小沢氏は、1日の共同記者会見で「政治資金はすべてオープンにすることが大事だと主張してきた」と胸をはりましたが、小沢氏側の収支報告書にはこれらゼネコン献金の記載はありません。
「訴追」いかんにかかわらず…
小沢氏は、1日の会見で、「検察の捜査で、不正な行為はなかったと明らかになった」と“シロ”を強調しました。
しかし、同氏をめぐる政治資金規正法違反事件は、2004年、05年、07年の3年分で虚偽記載の総額が20億円を超えるという重大な疑惑です。
小沢氏は、「不正はなかった」というものの、「嫌疑不十分」で不起訴処分となっただけです。現職国会議員をふくむ小沢氏の元秘書3人が起訴された政治的・道義的責任は重大です。
しかも、東京第5検察審査会は、ことし4月、陸山会の政治資金収支報告書の04、05年分の虚偽記載容疑について、小沢氏を「起訴相当」と議決しました。
東京第5検察審査会は、現在、小沢氏を強制起訴すべきかどうかを判断するため第2段階の審査をすすめており、その結論しだいでは訴追の可能性もあるのです。
小沢氏は訴追されたら「私は逃げない」「受けて立つ」などといっています。しかし、訴追されようがされまいが、みずからの疑惑について真相を明らかにすることこそが求められているのです。
菅首相 「クリーン」と言うが…
菅首相は、1日の共同会見で、「政治にお金のことがまつわる古い政治からは脱却せねばならない」「クリーンでオープンな民主党をつくる」とのべ、小沢氏の政治姿勢を非難しています。
しかし、「(幹事長)辞任によって大きなけじめをつけた」と、同党代表就任後、小沢氏をかばい、疑惑解明に背を向けてきたのは菅氏自身です。
菅氏は、ここにきて、「党代表になりたいならしっかりした説明が必要だ」などと、いっていますが、党代表として、なんら自浄能力を発揮してこなかった責任が問われています。