2010年9月5日(日)「しんぶん赤旗」

パレスチナ・イスラエル和平交渉

アラブ側は「慎重」

入植・テロ… 矛盾抱える


 【カイロ=松本眞志】米国で2日始まった中東和平直接交渉について、アラブ諸国は慎重な態度を示しています。一方、イスラエル国内では、ユダヤ人入植地の拡大を進める動きが表面化しています。


 アラブ連盟は、交渉開始に先立つ8月31日に「交渉再開は悲観的結果に終わるかもしれない」との懸念を表明、「イスラエルは和平実現にもっと真剣になるべきだ」と訴えました。湾岸協力会議(GCC)のアッティーヤ事務局長も、「イスラエルにはまともに交渉を再開する気があるのか」と疑問を述べ、イスラエルのネタニヤフ首相が入植地拡大再開の意向を示したことを批判しました。

 イスラエル国内では、ネタニヤフ首相が昨年11月約束したヨルダン川西岸の一部でのユダヤ人入植地拡大停止の期限9月23日まで待てないとの圧力が高まっています。入植者の一部は制止を聞かずに住宅建設を再開しています。ネタニヤフ政権内では右派「わが家イスラエル」のリーベルマン外相が、今回交渉開始直前に「入植地拡大を再開するべきだ」と主張し、宗教政党シャスのイシャイ内相も「東エルサレムでの入植地拡大停止はありえない」と述べています。

 シャスの精神的指導者ラビ・オバディア・ヨセフ氏は8月に、「アッバス(パレスチナ自治政府議長)とパレスチナ人はこの世から消滅するべきだ」と述べ、パレスチナ、イスラエル間の対立をあおっています。

 これに対し、パレスチナ側もイスラム武装抵抗組織ハマスをはじめとするパレスチナ解放機構(PLO)以外の組織が直接交渉開始に反発。ハマスの軍事部門は8月31日に入植者4人を射殺し、2人を負傷させています。ヨルダン川西岸地区のラマラでは、直接交渉に反対する抗議行動も行われました。





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