2010年9月5日(日)「しんぶん赤旗」
普天間「移設」米軍新基地 オスプレイ配備、公然化
騒音激化 墜落の危険
現在の環境アセス無効に
沖縄県名護市辺野古沿岸部に建設が狙われている米海兵隊新基地への、垂直離着陸機MV22オスプレイ配備の動きが公然化してきました。
日本政府はオスプレイ配備を米国とひそかに協議する一方、騒音が激しく、墜落のリスクも高い同機の配備をひた隠しにしてきました。しかし、米側が配備を計画している2012年秋が目前に迫ったため、隠し通せなくなりました。今後、地元の反発に加え、新基地建設の前提である環境影響評価(アセスメント=別項)の正当性が問われます。
8月31日に公表された普天間基地(宜野湾市)の辺野古「移設」に関する日米(専門家会合)の報告書は、視界が良好なときに用いる有視界飛行の飛行経路について、「今後協議を継続」すると明記しました。
事実を認める
岡田克也外相は同日の記者会見で、これに関して「オスプレイをどうするかという議論もある」と述べ、同機の配備に向けての日米協議が行われている事実を認めました。
報告書は、新基地の選択肢として、(1)滑走路2本の従来案―V字案(2)滑走路1本のI字案―を併記。I字案については、07年8月から行われている環境アセスの修正に「約15カ月を要する」としていますが、V字案について防衛省は、「現行のアセスを適用する」との見解です。
経路が異なる
しかし、現行アセスはCH46ヘリなど、現時点で普天間基地に配備されている米軍機をもとに騒音を予測しています。米軍の計画では、CH46に代えてオスプレイを24機、「普天間代替施設」に配備します。オスプレイは固定翼機と同じような離着陸をするためヘリとは飛行経路が異なります。実際、専門家会合で米側が要求した飛行経路は、現行のV字案でのものと大きく異なります(地図)。外務省筋も「I字でもV字でも、オスプレイが配備されれば飛行経路が変わりうる」と認めます。
そうなれば、現在のアセスは無効にならざるをえません。日本政府が、2014年の期限内に新基地を建設するという前提を崩さず、環境影響評価法に定められた必要な手続きを省略しようとするなら、法治国家としてのあり方が問われます。
米国では
米国ではCH46ヘリに代えてオスプレイ120機を配備するにあたり、環境影響評価が行われています。米西海岸のカリフォルニア州で、オスプレイ配備の「潜在的な可能性」がある15の海兵隊基地を選定。それぞれについて、周辺地域への騒音や危険性などを予測し、最終的に三つの基地への配備を承認しました。環境影響評価は2000年から昨年11月まで、9年を費やしました。
MV22オスプレイ 両翼のローター(回転翼)の向きを動かすことで、ヘリコプターのような垂直離着陸や、固定翼のプロペラ機のような飛行ができます。自力展開能力は3900キロに及びます。不安定な構造のため墜落事故を繰り返し、「未亡人製造機」との異名を持ちます。
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