2010年9月3日(金)「しんぶん赤旗」

民主代表選 討論会から

小沢氏「日米合意を尊重」

普天間問題めぐる対応


 民主党の小沢一郎前幹事長は2日、日本記者クラブ主催の公開討論会で、米軍普天間基地問題への対応について、「鳩山前首相の努力と日米間という国同士の約束は尊重しなければならない」とのべ、名護市辺野古に新基地を建設するとした「日米合意」を尊重する立場を示しました。

 小沢氏は、この問題で、再度米政府と話し合う意向を示し、この日も「沖縄県民の意向を踏まえて、またアメリカ政府と話さなければいけない」「両方が納得できるいい知恵がでるよう、もう一度努力する」などとのべました。

 また、「両方が納得できるいい知恵」について、小沢氏は1日の共同記者会見で「この席で申し上げるわけにはいかない」とのべていましたが、2日の公開討論会では「案があるとはいっていない」と腹案がないことを示唆しました。


雇用が「課題」という菅首相

派遣法改正触れず

 民主党代表選(14日投票)で、2日開かれた日本記者クラブ主催の公開討論会。菅直人首相は、「やるべき政策課題」について、「一に『雇用』、二に『雇用』、三に『雇用』」と繰り返し、「雇用こそが今の経済の低迷、社会の不安感、社会保障を変えていくキーになる、カギになる」と力みました。

 しかし、具体的に言及したのは、「近年、大卒、高卒の就職がきびしい。若年層用の特別チームをつくって全力をあげている」ということでした。

 菅首相が直属の「新卒者・雇用特命チーム」の設置を表明したのが今年8月21日で、首相就任から74日目、民主党代表選の直前になってから。

 特命チームは「来春の就職内定率は過去最悪となるおそれもある」との認識を示していますが、雇用対策そのものが遅すぎます。

 菅首相が8月末に打ち出した雇用対策の中身は、卒業後3年以内の就職希望者を正規雇用したり、体験雇用を実施したりする企業に奨励金を出すというもの。

 一方で、雇用環境を悪化させてきた労働分野での規制緩和に歯止めをかける姿勢はみられません。肝心要の労働者派遣法の抜本改正にも一言もふれていません。

 菅首相は、野党時代の2009年初めに「派遣村」を視察。「政権交代」後の10年初めに「公設派遣村」も視察しています。現在、日本の労働者の3人に1人は「非正規雇用」という状態で、菅首相はこの問題の解決こそ雇用の安定にとっても、日本経済の回復にとっても決定的であることは、肌で実感してきたはずです。

 折しもこの日、厚生労働省が「09年若年者雇用実態調査」を発表。アルバイト・パートとして働いていたフリーター(15〜34歳)を、過去3年間に正社員に採用した事業所は1割強にとどまったことが明らかになりました。

 雇用を政権の中心命題といいながら、労働者派遣法の抜本改正にふれない菅首相の姿勢では本気度が疑われます。(松田繁郎)





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