2010年9月3日(金)「しんぶん赤旗」

海外視察36コース9600万円

07〜10年度 福岡県議会

クルーズ観光 必要なの?

共産党県議団調査で判明 1人最高8コースも


 福岡県議80人(辞職者含む)がこの3年間で、のべ49カ国を視察・訪問し、少なくとも9649万円の税金が使われたことが2日、日本共産党県議団の調べで分かりました(表)。県議会事務局が同県議団に示した資料は2007年8月から10年4月にかけての分。視察先は北米、南米、北欧、東南アジアなど36コースにのぼります。真島省三県議が記者会見で明らかにしました。


写真

(写真)海外視察の日程表の一部

 1人の議員が、最高8コースまわるなど、のべ203人が渡航しています。会派別では、自民党県議団がもっとも多く、辞職した県議を含むのべ126人が渡航。民主・県政クラブ31人、緑友会23人、公明党21人と続きます(いずれものべ人数)。

 本当に「視察」なのか疑わしいものもあります。

 08年7月12日から20日まで、自民党県議9人が「世界遺産の管理、環境及び空港等視察」目的でオーストリア、ハンガリー、クロアチアなど4カ国を訪問した事例。

 日程表によると、世界遺産ブリトビチェ湖群国立公園では「エメラルドグリーンの湖から滝となって落ちる水と森を眺めながらのウォーキング(約2時間)やレイククルーズ(約15分)を視察します」と記されています。この視察には718万円の税金が使われました。

 県が海外で行う公式行事に、複数の議員が連れだって参加する事例も目立ちます。

 08年6月13日から26日までの日程で、ブラジル、アメリカに7人の県議が渡航。公式行事への参加は同18日と同21日だけで、ほかはリオデジャネイロやニューヨークの美術館「視察」など。この視察には約1273万円かかっています。

 同県議会では公式訪問派遣にかかる費用のほか、海外視察費として、議員1人に「1任期100万円」という特権的な支給枠があります。さらに議員連盟による海外視察があり、政務調査費による海外視察も疑われています。


税金の私物化ただせ

 真島県議の話 税金の私物化、特権意識の表れです。本来、行政のムダをただすべき議会が、こうした状態にあることへの危機意識がまったくない。一方で海外視察は、格差と貧困が広がり、県民の暮らしが厳しくなっているときに行われている。県民意識からズレています。

 公式訪問派遣は正副議長に限り、100万円枠の廃止、視察「計画書」「報告書」の公開を義務付けるべきです。こうした議会改革を提案するのは共産党しかありません。県民と一緒に迫っていきたい。


福岡県議の海外視察状況(2007年8月〜2010年4月)

【2007年度10コース(参加議員のべ59人)】

費用2323万円
(主なもの)

◆07・8・23〜29 アメリカ(シアトル) 「福岡県人会世界大会」に7人が参加。式典、交流のほか、博物館を視察。577万円。

◆08・1・21〜26 カンボジア、タイ 友好交流や議会訪問を目的に3人が参加。アンコールワット視察なども。150万円。

【08年度13コース(68人)】

費用4320万円

◆08・6・13〜26 ブラジル、アメリカ 「ブラジル日本移民百周年記念式典」に7人が参加。式典参加は2日間、ほかはニューヨークやブラジルの美術館を訪ねるなど。1273万円。

◆08・7・12〜20 オーストリア、ハンガリー、クロアチアなど4カ国。自民党議員9人。世界遺産視察など。718万円。

【09年度11コース(62人)】

費用2427万円

◆10・1・19〜24 タイ(バンコク) 「バンコク都議会友好訪問」で10人。表敬訪問以外に、国立博物館視察など。254万円。

【10年度4月2コース(14人)】

費用579万円

◆10・4・10〜16 インド、ネパール 「経済・自然・環境調査」などで4人。世界遺産タージマハル、同バクタプル視察など。335万円。

合計36コース(203人)9649万円

※県議会事務局が党県議団に示した資料から作成

※これ以外にも、10年度は8月に2グループが北欧を「視察」。詳細は不明。





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