2010年9月2日(木)「しんぶん赤旗」
北海道B型肝炎訴訟
未発症者は救済せず
国の和解案に原告ら怒り
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集団予防接種の注射器使い回しでB型肝炎ウイルスに感染した患者らが、国に損害賠償を求めている北海道B型肝炎訴訟の第3回和解協議が1日、札幌地裁で行われました。
国はこれまで同様、患者に予防注射をしたことを証明する母子手帳か、それにかわる予防接種台帳など証明の困難なものを提出するよう要求。持続性感染者(無症候性キャリアー)については、予防接種から20年以上がたち、民法で請求できることを定めた期間(除斥期間)をすぎており、発症する割合も「相当低い」などとして、救済の対象としない考えを示しました。具体的な和解金額も示しませんでした。
裁判所から「できるだけ早期に全体案を」と求められた国が、「和解の全体像に関する国の考え方」として示したものです。
全国原告団と弁護団は(1)20余年責任を争ってきた国が、除斥期間を理由に請求権の消滅を主張するのは許されない(2)具体的金額を何ら示さず、全体案とは言えない(3)予防接種台帳は短期間で廃棄処分されるものであり、非現実的な証明を求めている、と指摘。「被害者切り捨ての『考え方』だ」と厳しく批判しました。
今回の「考え方」で救済の対象からはずされた持続性感染者で原告の男性(42)は「強い怒りを感じます。政争をつづける政治家に、患者の思いを知ってほしい」と憤っていました。
次回の協議は9月15日の予定です。
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