2010年9月1日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 デパートの災害食コーナーをのぞいてみました。定番の乾パンからチョコレート、ラーメンと予想以上に品数豊富です。なかでも水やお湯で戻して食べられるアルファ米のご飯は、白飯、五目飯、赤飯など6種類も。賞味期限は3年から5年ほどです▼ためしに赤飯を買って試食しました。非常時を想定して水をパックに注いで待つこと60分。米はもちもちしていて、あずきもやわらかく、なかなかの味です▼阪神・淡路大震災の取材をしたときのことを思い出しました。地震直後、打ちひしがれた人たちにとって、食べ物や水があるということは、飢えをしのぐだけでなく、生きる勇気につながる。そんな被災者の声をよく聞きました▼大災害を教訓にして、自治体など公的な災害食備蓄は拡充した、と願いたいところですが実態は逆行しています。今の備蓄方法の主流は「流通備蓄」。自治体がコンビニなどの小売業者と契約して、災害時に優先的に供給を受けるというやり方です▼この方法、いっけん合理的なのですが、建物が倒壊し、交通網が寸断された災害時には、機能しないという問題があります。阪神・淡路大震災では、契約先のスーパーや企業が軒並み倒壊して、物資が届かない事態に追い込まれました▼国の防災関係予算は毎年、大幅に減少しています。今年度は10年前の4割未満に。国がそんな姿勢では、自治体も消極的になってしまいます。今日は「防災の日」。国民に目を向けない政治の冷たさを、この分野でも痛感します。





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