2010年8月31日(火)「しんぶん赤旗」
「君が代」強制
内心の自由に介入
第2次訴訟 原告尋問5人が証言
「日の丸・君が代」強制に従わなかったとして処分された東京都立学校の教職員66人が、処分の取り消しなどを求めた第2次訴訟の原告本人尋問が、東京地裁(青野洋士裁判長)で開かれ、都立高校教員5人が証言に立ちました。
社会科を教える吉野典子さん(54)は、自らの歴史観、教育観から2005年の入学式の「君が代」斉唱時に不起立、戒告の不当処分を受けました。「国は国民の心の中に介入しないで、中立を貫いてほしい」と訴えました。
水野裕さん(48)は、島嶼(とうしょ)部の高校や、卒業できる生徒がクラスの半数という工業高校、統廃合で廃校になる高校で特色のある卒業式を生徒と教職員がともにつくってきたと証言。「(日の丸・君が代の強制は)それぞれの学校が長年取り組んできたものを否定して画一的な式を押しつける不当な介入であり、保護者・生徒への内心の自由に踏み込んだもの」とのべ、「教育行政が間違うことがあるのは歴史が証明している。間違ったと思う通達に無批判に従うことはできない」と語ります。
生徒から「先生たちが処分されるのはおかしい」といわれたというのは本田和代さん(58)です。「以前在職した高校では、中国残留孤児の子や孫で過去の戦争を思い、涙ながらに着席した生徒や自分で『日の丸・君が代』問題を勉強して立たなかった生徒がいた。自分たちが起立・斉唱すれば、生徒たちに起立・斉唱しなければならないというメッセージを送ってしまう。生徒たちの問題意識を押しつぶすことがあってはならないものです」とのべました。