2010年8月31日(火)「しんぶん赤旗」
イスラエル演劇人
占領地での公演拒む
ネタニヤフ政権は援助カット警告
【カイロ=松本眞志】イスラエルの演劇人は29日までに、パレスチナ占領地ヨルダン川西岸地区でのユダヤ人入植地拡大に抗議し、同地での公演ボイコットの請願に署名しました。ネタニヤフ政権のすすめる入植地拡大がイスラエル国内でも批判の的になっていることが明らかになりました。
ヨルダン川西岸地区ラマラ北方のアリエル入植地では今年11月、イスラエル国営の新劇場が公開されることになっています。これに対し、俳優や脚本家など57人が同地での公演ボイコットに署名。六つの主要劇場会社に対し、イスラエル国内に限定した公演を要求しています。
イスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナ側が9月2日からワシントンで始まる中東和平直接交渉で10月以降も入植地拡大停止の約束を延期しなければ交渉に応じないと訴えている状況をとらえ、「われわれが(パレスチナ側から)襲撃を受けている時期に内輪もめをしている場合か」と請願を非難。「政府としてはイスラエル市民に反抗するボイコットに資金援助するべきではないと考える」と語り、指示に従わない場合は財政援助を打ち切ると警告しました。
一方、請願に署名した俳優のオデッド・コトレル氏は、政府からの資金援助(打ち切り)によっても入植地での公演拒否は妨げられはしないと強調。「私が劇場と交わした契約はイスラエル国内での公演を義務づけている。しかしアリエル(入植地)はイスラエルの一部ではない」と反論しました。