2010年8月30日(月)「しんぶん赤旗」
議員1人に4社ズラリ
生保業界の接待攻勢
「不払い」収束図る?
生命保険大手4社による“金融族”国会議員への接待攻勢が明らかになりました。関係者の証言や内部資料からは、接待には共通した特徴があることがわかりました。
いずれも高級店
「星二つ 遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理」
料理店の格付けで有名な『ミシュランガイド東京』がこう評価した都内の中華料理店も接待の場になっていました。
生保側が接待に使用した15店のうち「星二つ」の店が一つ、「星一つ」の店が二つ。その他の店も、有名な高級店ばかりでした。
いずれも個室完備の店。生保側からは部・課長6人ほどが出席するのに対し、議員1人と秘書1人というケースがほとんどです。密室で、4社連合による“個別対応”で、どんな話し合いをしたのか、疑問は尽きません。
ある生保関係者は「生保側には政界工作を担当する部署に属する議員対策専任の職員も同席していた」と証言します。
出席者の多くは部長クラスが目立ちますが、副社長や常務など幹部が出席することもありました。
こうした接待について、生保関係者は「議員への要望で大事な場面、要所に幹部も参加することになっている」といいます。
2007年4月下旬の接待は、その証言を裏付けるものでした。
現在、生命保険協会会長で第一生命の渡辺光一郎社長(当時は常務)が参加した、九州地方での宴席です。
もてなした相手は、自民党の閣僚経験者で“金融族”の大物。昨年の総選挙で落選しましたが、サラ金の上限金利引き下げに反対する議員連盟の先頭に立つなど金融行政に強い影響力を発揮していました。わざわざ議員の地元、九州まで遠出をしての宴席。それだけ生保業界が重大な窮地に陥った時期だったのです。
生保各社は同月13日に、不払いの調査結果を金融庁に報告したばかり。大手・中堅の生保12社分だけで、110万件超の契約に不払いがある可能性が判明した直後でした。
当時、報道で大きく取り上げられ、生保業界はきびしい批判にさらされていました。金融庁による行政処分も検討された時期でした。
翌5月には、業界の働きかけで質問時間を短縮した疑惑が指摘されている不払い問題の参考人招致も行われています。
不払い問題の収束を図るかのように行われた生保業界による国会議員への接待攻勢。すでに明らかになっているパーティー券購入問題ともあわせて、その狙いは何か、さらなる解明が求められます。
生保大手4社は本紙の取材に次のように回答しています。
日本生命 国会議員との会合については、幅広く経済・政治情勢全般にわたり意見交換を行うこともありますが、具体的な内容についてはお答えを控えさせていただきます。
第一生命 国会議員との懇親を目的とした会合の実施につきましては、当社の社内規定に基づき適切に対応しております。
住友生命 当社では法令にのっとり適切に対応しております。
明治安田生命 政治とのかかわりにつきましては、法令に従い適正に対応しています。
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