2010年8月28日(土)「しんぶん赤旗」
名古屋市議会解散請求署名を開始
共産党が批判 市長いいなり議会狙う
河村たかし名古屋市長が主導する、市議会解散を求める直接請求署名運動が27日から名古屋市内各地で始まりました。日本共産党は、「憲法で保障された地方自治の二元代表制を否定し、市長言いなりの議会をつくることがねらいであり、解散請求には道理も正当な理由もない。河村市長の議会解散の企てには反対だ」と厳しく批判しています。
運動期間は1カ月間で、必要署名数は約36万6000人。解散請求が成立すれば、住民投票が実施され、過半数の同意で市議会は解散、市議選が行われます。その場合河村市長は、自身が立ちあげた新党「減税日本」の候補者を大量に擁立するとともに、みずから辞職し、市議選と市長選、さらに愛知県知事選(2月6日投票)のトリプル選挙に持ち込むかまえです。
市民の中には「議会解散運動には大義も道理もない」との批判が出ています。
「解散請求書」には、「市民税10%減税」を継続できる議会をつくろうと書かれていますが、地元情報紙のアンケートでは、減税の実感が「ない」と答えた人は74・3%。一律10%減税のため、非課税世帯にはまったく恩恵がなく、大金持ち・大企業ほど減税額が多くなるというものです。
憲法学者などの著名14氏は23日、「憲法に保障された地方自治を否定し、市長の強権政治に道を開く『議会解散・リコール』に反対しましょう」とのアピールを発表。二元代表制での議会の役割をのべて、「市長の提案が成立しないからといってリコールを自ら先導するのは、議会の審議権や行政調査権、行政の監督権を否定する暴挙だ」と指摘しています。
二元代表制 大きな執行権をもつ市長と議決権をもつ議会が、チェック・アンド・バランス(抑制と均衡)の関係で、おたがいの独断や暴走を防ぐという民主主義の仕組みです。