2010年8月25日(水)「しんぶん赤旗」
ドイツ労組“秋闘”
経済成長にも賃上げ必要
ドイツの労働組合が“秋闘”に向けて動き始めています。輸出が好調で独連邦銀行が今年の国内総生産(GDP)成長見通しを3%に引き上げるなか、労組側は「持続可能な経済成長には個人消費を中心とした国内景気の底上げが必要だ」(ドイツ労働組合総同盟=DGB)と訴え、労働協約交渉にのぞみます。(片岡正明)
ドイツ最大の産別労組、独金属産業労組(IGメタル、230万人)は自動車・家電産業分野で、来年2月からの2・7%賃上げ実施を求めています。「企業の業績が上がれば賃上げを2カ月早めることができる」という労働協約の条項を利用し、すでに合意している来年4月からの賃上げを2月に前倒しするものです。
デトレフ・ウェッツェル副委員長は、南ドイツ新聞のインタビューで、「実質賃金は下がっており、給与以外の特別手当で穴埋めをしなければならない」と述べ、冬のボーナス額のアップなども求めています。
9月に労働協約交渉が始まる鉄鋼産業分野でも、「景気回復にみあって、前回の2%より高い賃上げが絶対必要だ」(同副委員長)との立場です。
統一サービス産業労組(ベルディ、218万人)のブジルスケ委員長は「賃金は、需要をつくりだすカギであり、持続する成長をもたらすものだ」と強調し、12月には地方公務員の賃上げ要求を掲げることを明らかにしました。
さらに各労組は、仕事が忙しくなってきたからといって、派遣労働者を増やすのではなく、派遣労働者の正規への切り替えが必要だと主張しています。
DGB系のハンス・ベックラー経済研究所は各産業分野平均で3%の賃上げは可能だとの試算を示しています。
またベルディは、政府が実施しようとしてる福祉事業縮小や公務員削減などの緊縮政策に反対し、9月14日にケルンで統一行動を予定しています。
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