2010年8月22日(日)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
沖縄の友人から、興奮気味の電話がありました。「興南の試合の日はどこも仕事にならない雰囲気。勝つたびに号外は出るし、ラジオも朝から高校野球一色。すごい盛り上がりだよ」▼電話がかかってきたのは、甲子園の決勝戦の前日でした。興南が優勝を決めたきのうの沖縄は、どんなに熱かったのやら。興南高校、沖縄県勢の悲願だった初の夏の優勝をなしとげました。自身の、春夏連覇の偉業を携えて▼決勝戦。たたみかける集中打。歓声にわく応援席でブラスバンドが、おなじみ「ハイサイおじさん」を鳴り響かせる…。沖縄では、今夏の甲子園に登場した新しい応援歌も話題です。「ヒヤヒヤ、ヒヤヒヤヒヤ ヒヤミカチ興南」▼元歌は、「ヒヤミカチ節」といいます。1950年代につくられた歌です。詞は、自由民権運動に加わったあとアメリカへ渡り、戦後の沖縄に帰った平良新助さんの作です。悲惨な沖縄戦を体験したうえ、いまは米軍の占領下であえぐ故郷のありさまにふれ、人々を励まそうと詠みました▼「七転(くる)び転でぃ ヒヤミカチ起(う)きり 我(わ)した此(こ)ぬ沖縄 世界(しけ)に知らさ」(七転び転んで エイヤと立ち上がり われらがこの沖縄を 世界に知らせよう)。そう、ヒヤミカチとは、「エイヤー! と奮い立たせる」意味の沖縄方言です▼“心を一つに合わせて立ち上がろう”の詞もある「ヒヤミカチ節」。興南の我如古盛次主将が、応援にこたえていいました。「きょうの優勝は、沖縄県民みんなで勝ち取ったものです」