2010年8月22日(日)「しんぶん赤旗」

イスラエル・パレスチナ直接交渉再開へ

入植地拡大、国境画定など

食い違い どう解決


 イスラエル・パレスチナの1年を期限とする直接和平交渉が、9月2日から再開されることになりました。パレスチナ解放機構(PLO)は20日、ヨルダン川西岸ラマラでの幹部会合で直接会談の受け入れを了承。イスラエルは交渉再開を歓迎すると表明しました。

 とはいえ、交渉の先行きに不安の声も上がっています。PLOのアリカット交渉局長が、イスラエルが9月末としているユダヤ人入植地拡大の停止期限を延長しない場合、交渉継続はできないとの立場を表明。一方、イスラエルのネタニヤフ首相は7月下旬に入植期限を延長しないと語っているためです。

 もともとパレスチナ側は、直接交渉再開の条件としてユダヤ人入植地拡大の停止や将来のパレスチナ国家の国境画定の原則受け入れをイスラエルに求めていました。5月からの米国を仲介とした間接交渉期間中にイスラエルが東エルサレムで入植地拡大を続けたことに対する不信もあります。

 しかし、オバマ米政権は「直接交渉再開に合意しないならばパレスチナ国家樹立を支持できない」とパレスチナ側に警告。アラブ連盟も交渉開始を支持し、中東和平4者協議(米国、ロシア、国連、欧州連合=EU)が声明でユダヤ人入植地拡大の停止を求めたことから、パレスチナ側は交渉再開を受け入れることになりました。

 米国が直接交渉を急ぐ背景には、11月の中間選挙でのユダヤ人票獲得を意識しているとの指摘もあります。

 パレスチナ側は、イスラエルのオルメルト前政権とのあいだで結ばれた第3次中東戦争(1967年)以前の境界を国境にするとの合意が交渉の出発点になると主張しています。これに対し、ネタニヤフ氏はすべてを白紙に戻してゼロからスタートするとの立場を表明しており、交渉の入り口からすでに両者の食い違いが目立っています。

 パレスチナでは07年6月にガザ地区を武力制圧したイスラム武装抵抗組織ハマスを含むいくつかの組織が直接交渉に反対しています。直接交渉開始がパレスチナ内部の亀裂を深めることも懸念されています。(カイロ=松本眞志)


 パレスチナ和平交渉 パレスチナ・イスラエル間の紛争解決を目指す交渉。ユダヤ人が1948年にイスラエル国家を樹立した一方、パレスチナ人は67年の第3次中東戦争でイスラエルの占領下に置かれました。93年の暫定自治宣言(オスロ合意)に基づきパレスチナ自治政府が成立しましたが、パレスチナ国家樹立とその国境画定、三大宗教の聖地があるエルサレムの帰属や、48年と67年の戦争で生じたパレスチナ難民の帰還問題は交渉で解決するとされています。





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