2010年8月19日(木)「しんぶん赤旗」

主張

教育研究全国集会

語り合い、教育を築く力に


 明日20日から3日間、和歌山市内で「教育のつどい」(教育研究全国集会2010=同実行委員会主催)がひらかれます。

 「つどい」では全国から約400本のリポートが発表されます。いずれも今日の子どもと教育の状況を切々と語っています。

子どもの現状を切々と

 ある中学校の教員は、教室で弱い子を攻撃していた生徒たちに「傷つけ合うのはやめて! みんな大切な子ども」と注意しました。すると「おれなんか大切じゃない」「うちで殴られている」「かわいくないんだ」―。悲しそうな顔をして何人もの生徒がつぶやき始めます。教師に不安を聞いてもらい、受けとめてもらった生徒たちは、翌日びっくりするほど素直だったといいます。

 貧困が家庭と子どもをどう追いつめているのか。各地のリポートであらためて考えさせられます。

 ある先生は、中学校の入学式の2日前、「じつは制服も上靴もない」と父親から電話を受けます。父親は派遣労働者で職を転々とし、相談できる人がおらず切羽詰まっていました。先生たちが手分けして、新品ではないけれど必要なものをそろえました。

 借金から逃れるため住民票を移せず、就学援助も保険証もありません。仕事が見つかったとき、父親は「笑う門には福来るですよ」とニコニコしながら言いました。しかし世界同時不況のあおりで再び失職、教員は“声なき声は現場にある”、そのことを伝えたいとリポートします。

 各地の報告では、学校、福祉、医療、地域などのネットワークで子どもを貧困から守るとりくみが力を発揮しています。全国にひろげたい方向です。

 ネットワークの力という点では日々の教育も同じです。いつもざわざわしている中学2年の学級。教室の中でけが人もでました。担任の教員は「自分ひとりでは、教師だけでは、無理だ」と校長のアドバイスも受け保護者懇談会を開きます。保護者は「先生がこんなつらい思いをしているとは」と驚きました。そして「子どもに話しかけても邪魔者扱いされる」など子育ての不安を語りあいました。

 そんな中で学級が変わっていきます。「多くの要因で子どもたちは成長する。大事なことは彼らをとりまくおとなが思いや願いを共有し、同じ方向を向き、かかわり育てること」と教員はふり返ります。

 別の学校では、夏休み前日に200人以上の親子が川原でバーベキュー大会を開き、そこからオヤジの会が生まれました。リポートは「楽しさは、どんな人も能動的に巻き込む」といいます。

子どもに必要なものを

 民主党政権になり公立高校の無償化などは進みましたが、過度の競争と管理の教育政策は変わっていません。それは子どもや教職員を競争にかりたて、教育の自由な雰囲気を奪い、「学校はサービス提供、保護者は顧客」と学校と保護者の間に溝をつくっています。

 この方向では子どもも保護者も教職員も苦しくなるばかりです。

 だからこそみんなで集まり、時には愚痴もいって考えてみたい。子どもと教育に本当に必要なものは何なのかを―。それが希望をうみ、新しい教育を築く力になります。そのためにも誘い合い、「教育のつどい」にでかけませんか。





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