2010年8月17日(火)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
取材手法の一つに調査報道があります。リクルート事件などを手がけた元朝日新聞記者の山本博さんは自著の中で、こう定義づけています。「当局に頼らずに報道機関自身の責任で、隠された不正や疑惑を追及する調査報道は、ある意味で報道の真価を問う」▼「しんぶん赤旗」もこの分野に一貫して力を注いできました。田中角栄元首相の金脈追及、自衛隊の謀略組織を暴いた連載「影の軍隊」など、社会的に大きな影響を与えた報道も少なくありません▼直近では、「赤旗」日曜版が報じた小沢一郎民主党前幹事長へのヤミ献金が、疑惑の核心として注目の的に。先週土曜日に贈賞式が行われたJCJ(日本ジャーナリスト会議)賞では、受賞は逃したものの調査報道では唯一、最終選考に残りました▼「なぜ『赤旗』は、全国紙に比べて記者も少ないのに調査報道で強いのか」。マスコミ関係者によく聞かれます。それは他のメディアにはない、全国の党員や読者のみなさんの心強い協力があるからです。なにより最大の強みは、戦前の暗黒時代からどんな弾圧にも抗して国民の利益を守ってきた日本共産党の新聞だということ▼最近、紙面改善策で調査報道に力を入れる大手紙もあります。しかし、アメリカや財界・大企業には相変わらず弱い▼それだけに、どんなタブーも恐れない「赤旗」の役割はますます重要です。調査報道だけでなく、あらゆる分野で一人でも多くの方に読んでいただける紙面を。猛暑が続きますが、いっそう汗を流します。