2010年8月15日(日)「しんぶん赤旗」
憲法違反の政党助成金
世界一高い日本
イタリアは廃止 英は使途を制限
日本の政党助成金の年総額約320億円は、イギリス、ドイツ、フランスなど主要国と比較して、最も高額であることが14日までに、国立国会図書館の調査などでわかりました。
民主党政権が「国会改革」のモデルにするイギリスでは、政党助成金の総額の上限が法律で200万ポンド(約2億9200万円)に固定され、使途も政策立案活動に限定されています。政党への企業献金も株主総会の承認が必要など、規制の動きがあります。
フランスでは、閣僚の汚職事件を受けて1994年に企業献金が全面禁止になりました。現在、約98億円の政党助成金制度があります。政党が男女同数の候補を擁立しない場合には、パリテ(平等)法(2000年施行)にもとづき政党助成金を減額する規制をしています。
ドイツでは、政党助成金について連邦裁判所から“政党の政治資金を補完する部分的なものでなければならない”と違憲判決(92年)が出ています。連邦・州合わせた政党助成金(約174億円)の上限額が決められ、党費・寄付など政党が自ら集めた収入額に応じて受けとる仕組みになっています。
アメリカには政党助成金制度はありません。
政党助成金をなくした国もあります。
イタリアでは、政治腐敗への強い不信感を背景に、93年の国民投票の結果(廃止賛成90・3%)を受けて政党助成金を廃止しました。
南米のボリビアでは08年、政党助成金を廃止した分を障害者支援の基金にあてることを決定。与党・社会主義運動(MAS)のグスタボ・トリコ下院議員は「国民の税金は、本来、教育や医療など国民のために使うべきだからです。しかも国民の多くが貧困に苦しんでいる時に政党が税金を食いつぶすのは犯罪的です」(本紙09年2月2日付)と、政党助成金廃止の理由を語っています。
日本の政党助成金はドイツの1・8倍、フランスの3・2倍にもなります。「無駄の削減」といって国会議員の定数削減を叫ぶ民主党政権は、政党助成金については上限額も使途も制限せず、国民の税金を注ぎ込んでいます。国民の思想・信条の自由を侵害する政党助成金と、企業・団体献金の“二重取り”を続ける日本の異常さが際立っています。
政党助成金 日本の政党助成金制度は、1994年の「政治改革」関連法で小選挙区制とセットで導入され、95年から実施。国民1人あたり250円で年総額が算出されています。所属国会議員が5人以上か、直近の国政選挙の得票率が2%以上の要件を満たす政党に、所属国会議員数や直近の国政選挙の得票率の割合に比例して配分されます。日本共産党は政党助成金の廃止を要求し、受け取りを一貫して拒否しています。
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