2010年8月13日(金)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
夏休み。故郷に帰りたい。旅行にも行きたい。でも、費用が気になります。政府の統計によると、基本給が2年近く下がりっぱなし。ふところ具合が寂しいのは当然です▼庶民の生活をよそに、やたらと景気のいい話がメディアをにぎわせています。大企業の4〜6月期決算です。上場企業全体では、1年前と比べ経常利益が4倍に膨らみ、米大手証券が破たんした「リーマン・ショック」前の2008年4〜6月期の水準をうかがう勢い▼しかも、大企業は巨額の「金余り」。その規模はバブル期の90年並みだとか。使い道がなくて、お金がたまり過ぎて困っている。庶民の家計からは、想像できない世界です▼なぜこんな落差が起きているか。トヨタ自動車は3月期決算で、本業のもうけである営業利益が、1年前の赤字から一転して黒字になりました。実に6000億円を超える改善です。販売不振や円高によるマイナス要因を、コストダウン5200億円、労務費など固定費削減4700億円でカバーし、おつりを出しています▼トヨタの「お家芸」といわれる「カイゼン」効果は4〜6月期も同様です。その内実は部品の調達コストや人件費の徹底した削減です。「乾いたタオル」を絞りに絞ってため込んだお金は利益剰余金だけで11兆6800億円▼かつて「1ドル=80円時代」でも利益を出す企業体質を掲げたトヨタ。最近の急激な円高を理由にさらに中小企業や労働者が絞られては大変。庶民の「乾き」は、すでに限界を超えています。