2010年8月13日(金)「しんぶん赤旗」

主張

台風襲来

備え怠らず、万全の対策を


 連日の「猛暑日」や「熱帯夜」が続いた日本列島にことし最初の台風が接近し、各地で大雨や強風、高潮などの被害が出ています。未明にかけて東北地方を横断する見込みです。折からの「お盆休み」とも重なり、帰省の足を奪われたり、行楽を中止したりするなどの影響もでました。

 被害にあわれた方に、心からお見舞い申し上げます。あわせてこれから本格化する「台風シーズン」に向け、備えを怠らず、万全の対策をと呼びかけます。

異常気象の前ぶれか

 ことしの台風は3月に1個、7月に2個と発生数が少なく、台風4号が日本列島に接近・上陸する最初の台風となりました。しかも台風4号は沖縄付近の海上で発生し、九州各地や韓国沿岸部などに影響を与えた後、日本海を東に進み、長い期間にわたって雨や風の被害を及ぼしています。日本付近の海水温が高いのが原因のひとつといわれ、相次ぐ気象の異常との関連が注目されています。

 台風が日本海にあるのに、四国や東海地方でも大雨が降りました。台風が湿った空気を次々と日本列島各地に運んでくるため、離れた地域でも湿った空気が吹き込み局地的に激しい雨をもたらす、「ハンマー投げ効果」と呼ばれる現象が顕著に現れました。台風の進路から離れていると安心しないで、警戒が必要です。

 台風は毎年20個以上が発生し、そのうち何個かが日本列島に接近、上陸しています。昨年は1個、一昨年はゼロでしたが、2004年には10個も上陸しています。地球環境の温暖化にともない、台風の発生数は少なくなる傾向があるといわれていますが、その半面、大雨や強い風は激しくなるとの専門家の予測もあり、ことしは少ないからと安心はできません。

 台風はこれからが本格的な「シーズン」を迎えます。災害にあわれた方の救援や復興への支援とともに、大雨による河川の氾濫(はんらん)や土砂崩れ、強い風による建物の倒壊などで貴重な人命や財産が失われることがないよう、国や自治体の責任で対策を講じることが不可欠です。

 ことしは世界各地で気象の異常が相次いでおり、ヨーロッパやロシアにかけての異常高温や、中国などでの大雨、南半球での寒波などは深刻な被害をもたらしています。上空の偏西風(ジェット気流)の蛇行が長引いていることが直接の原因とされていますが、温暖化とのかかわりも注目されます。世界的な温暖化対策に力を合わせるとともに、これまでとは違う気象の異常が起こりうることを想定した万全の対策が求められます。

災害に強い町づくり

 台風だけでなく、風水害や地震など自然災害からの被害を最小限にするうえで、なにより重要なのは災害に強い町づくりを進めることです。ことし各地で相次いだ大雨などの被害の中でも、堤防の高さが低すぎたり、下水道などの排水の能力が低すぎたりしたなどの例がありました。これまでの想定を超える異常豪雨などが相次いでいることも考慮して、町づくりを見直すことが必要です。

 地方では経済の落ち込みや高齢化で、災害が発生すれば大きな被害を生みかねないところも少なくありません。国の責任で被害を防ぐ体制を整えることが急務です。





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