2010年8月13日(金)「しんぶん赤旗」

ILOが警告

若者失業率が最悪水準

社会の安定性破壊


 国際労働機関(ILO)は12日からの国連国際ユース(若者)年に当たって報告書を発表し、世界の若者の失業率が経済・金融危機を受けて再び増加し、最悪水準に達していることを明らかにしました。


 ILOのソマビア事務局長は、「若者は経済発展の推進力であり、この可能性を損なうことは経済的な損失であり、社会の安定性を破壊することになる」と警告しました。

 報告書『世界の若者の失業動向』によると、2009年末時点で15〜24歳の世界の若者6億2000万人の13%に当たる8100万人が仕事に就いていません。この数字は07年末の11・9%から1・1ポイント増です。

 世界の若者の失業率は、02年から05年にかけて13%台を記録した後、改善を見せていました。10年は13・1%にまで達しますが、11年は12・7%に改善する見通しです。

 報告書は、若者の失業率が成年の失業率と比べ経済後退の影響により敏感であると指摘。労働市場回復があっても、若者の雇用には遅れがあると指摘しています。若者の失業率は、08年に成人失業率(4・3%)の2・6倍、09年は2・8倍に達しています。

 報告書によると、世界の若者の30%近くが、雇用はされているものの1日1ドル25セント未満で生活する極貧状態。ことに世界の若者の90%が住む発展途上国では、若者は失業や貧困の影響を受けやすいと指摘しています。

 報告書は「若者の間の働きがいのある仕事がないという状況はすでに存在していたが、経済・金融危機でさらに悪化した」「ワーキングプアの状態の若者の数が増加し、次の世代にもワーキングプアの悪循環が続くことになる」と指摘しています。

グラフ

 国連国際ユース年 昨年12月12日の国連総会決議で今年8月12日から1年間と制定。「対話と相互理解」をテーマに、世代、文化、宗教、文明の間の対話と相互理解を目指すと同時に、平和から経済開発の推進に至るまで、人類の直面する課題を克服する上で、世界のユース(若者)の持つエネルギーと創造性、自発性を生かすよう呼びかけています。





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