2010年8月10日(火)「しんぶん赤旗」

保育の産業化やめよ

保育合研集会 新制度案阻止へ意見交換


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(写真)シンポジウムで発言に聞き入る保育合研参加者=8日、盛岡市・岩手大学

 3日間の日程で閉会した第42回全国保育団体合同研究集会の2日目の8日、盛岡市内60会場で講座やシンポジウム、分科会が開かれ、活発な意見交換が行われました。

 現行の保育制度を全面的に解体する政府の新制度づくりに立ち向かうための講座では、保育研究所の逆井直紀常務理事が政府の新制度案について、国と自治体が現在負っている三つの公的責任((1)保育の実施(2)保育の水準確保(3)保育の財源確保)がすべて解体されると告発しました。

 鹿児島大学の伊藤周平教授は、新制度案は公費を抑制して子どもをもうけの対象にするものだと指摘。経済的に余裕がなく最も切実に保育を必要とする世帯が保育から排除され、保育士の労働条件や保育環境も悪化して、子どもの命が危うくなると批判しました。

 シンポジウムでは大阪保育研究所の杉山隆一氏、福島大学の大宮勇雄教授、帝京大学の村山祐一教授が報告。会場の参加者からは、保育に営利企業の参入が進むことへの危機感や、自治体との連携をどう広げるかなどの課題が提起されました。

 杉山氏は、新制度の狙いは保育の「産業化」だと指摘し、もうからなければ撤退する営利企業の参入を進めていいのかと語りました。さらに、待機児問題で土地探しを一緒に進めるなど自治体を巻き込んだ運動の大切さを強調しました。

 大宮氏は「産業化」とはお金を余らせることであり、子どものためにお金を使うことの対極だと批判。また、新制度案には幼児の「いまの幸せ」を軽んじて小学校の準備段階とみなす考え方や、保育を単なる託児と軽視する考え方があると述べ、豊かな生活や遊びの中で困難に挑戦する姿勢を励ましてこそ、意欲をもって学ぶ力が育つと強調しました。

 埼玉県深谷市の保育士(28)は、「子どものために使うお金を浮かして他のところに使おうという発想が許せません。新制度を阻止する運動を広げたい」と感想を語りました。





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