2010年8月8日(日)「しんぶん赤旗」

「二大政党」に国民的不信

当事者も“選択肢の幅狭い”


 「『二大政党』の全体に国民的不信がつきつけられた」「新しい日本への旗印をいよいよ高く掲げて奮闘していきたい」。日本共産党の志位和夫委員長が3日の党創立記念講演会で行った、参院選の結果全体についての訴えは参加者の大きな共感を呼びました。

 1994年の小選挙区制導入を土台に、2003年以降、財界の肝いりで本格的にすすめられてきた「二大政党」づくりは、昨年の総選挙で民主党が大勝し、実際に政権が交代したことで達成されたかに見えました。しかし――

 「今回の参院選の比例代表の得票率を見ると、大敗した民主党だけでなく、改選第1党となった自民党も低下し『二大政党離れ』が鮮明になった」(「日経」7月12日付夕刊)

 先の参院選結果を全体で見てみると、その最大の特徴は、財界の戦略にもとづく民主、自民の「二大政党制」づくりの破綻(はたん)が始まったことにあります。

 NHKは、民主党の最大の敗因について、「消費税10%」をあげたうえで、3年前の参院選、昨年の総選挙で無党派層の5割以上が民主党に投票していたが、今回は3割まで落ち込んだと指摘。一方、自民党についても、「比例代表での得票、得票率は前回よりも減らしている」とし、「二大政党による政権交代という政治のあり方そのものに、重大な疑問がつきつけられたと考えるべきではないか」と結論づけました。(7月12日「時論公論」)

 さらにこんな数字もあります。

 「毎日」7月26日付が発表した世論調査結果によれば、「参院選で自民党が民主党を上回る51議席を獲得しました。自民党が政権に復帰することを期待しますか」の問いに、「期待しない」が71%で「期待する」の28%を大きく引き離しているのです。

 有権者の「二大政党」離れの背景にはいったい何があるのか。

 消費税率の10%への引き上げ、沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設、財源でも軍事費、大企業・大資産家優遇という「聖域」にメスを入れない姿勢…。これら国政の根本問題で違いが示せないのは、民主も自民も「異常な対米従属」「大企業・財界の横暴な支配」という「二つの異常」に縛られているからにほかなりません。

 この「二大政党」の正体は、当事者も認めざるを得ないところまで来ています。

 自民党の谷垣禎一総裁は7月27日に外国特派員協会で講演。「(民主党とのコンセンサスは)最初はなかなか難しいかなと思っていたが、沖縄の普天間の件でもだいたい自民党の案に戻ってきた」「消費税に関しても、かつては消費税(増税)は4年はやらないといっていたが、自民党の案と同じようなことを考えているとにおわせている」と述べ、「結局のところ実際に政治に取り組んでみれば、できる政策の選択肢の幅はそう広くないのかもしれない」と“告白”しました。

 みんなの党など新党とよばれる勢力も、その目標は「政界再編」であり、古い政治から抜け出す足場を持っていません。こうしたなかで、「『二つの異常』をただし『国民が主人公』の新しい日本をつくるという旗印」(志位委員長)を高く掲げているのが日本共産党です。

グラフ

二大政党制目指すべきではない

学者や企業経営者46.2%

 大企業経営者もメンバーに名を連ねる言論NPO(工藤泰志代表)が6月、鳩山由紀夫前首相辞任を受けて緊急有識者アンケートを行いました。

 学者や企業経営者、ジャーナリストなどを対象に、「二大政党制は日本の政治が目指すべき政治なのか」と質問したところ、「そう思わない」との回答が46.2%で、「そう思う」の27.5%を大きく引き離しました。


二大政党制づくりをめぐる動き

 ○1993年8月 「非自民」の細川連立政権が発足

 ○1994年1月 小選挙区制と政党助成金制度が導入される

 ○1994年6月 細川連立政権退陣、同じく「非自民」の羽田政権の短期間での崩壊を受け、自民、社会、さきがけの村山連立政権が誕生。政党の離合集散が常態化し、自民と「非自民」による「二大政党制」づくりは頓挫に向かう

 ○1996年10月 総選挙で日本共産党が15議席から26議席へと大躍進

 ○1998年7月 参院選挙で日本共産党が820万の比例票を獲得。支配勢力は共産党“封じ込め”を本格的に開始

 ○2002年10月 経済同友会がアメリカ型の「二大政党制」に改造する「提言」を発表

 ○2003年1月 財界の総本山、日本経団連も「提言」を発表し、「二大政党」づくりの号令をかける

 ○同年7月 財界のシナリオにそって旧民主党と自由党が合併

 ○同年9月 日本経団連が自らの「政策要求」への賛成の度合いで政党ごとの献金額を決める仕組みを導入

 ○2007年7月 参院選挙で民主党が勝利し、同院で第1党に

 ○2009年8月 総選挙で民主党が「国民の生活が第一」を掲げ大勝し、「政権交代」を実現

 ○2010年7月 米国、財界への追随路線を鮮明にした菅直人首相に率いられた民主党が参院選で大敗。野党が参院で多数を握る





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp