2010年8月8日(日)「しんぶん赤旗」

主張

少人数学級

いまこそ「30人」実現の好機


 日本共産党国会議員団は4日、小中学校を来年度から「30人学級」にすることを求める「緊急提案」を発表しました。

 その後、宮本岳志衆院議員と懇談した川端達夫文部科学相は、「提案はありがたいこと。受け止めて、頑張っていきたい」とのべました。いまこそ実現の好機です。

今の子どもに必要な条件

 現在、31人以上の学級で学ぶ子どもは、小学校で5割以上、中学校で8割以上もいます。

 子どもたちを30人以下の学級で学ばせたいという願いは、ここ数年、教育関係者の一致した強い要求となってきました。中央教育審議会初等中等教育分科会が7月26日、「学級規模引き下げ」を求める提言に踏み切ったのは、その象徴的なできごとです。

 この背景には、少人数学級を必要とする、子どもたちの状況があります。

 たとえば貧困のひろがりは、学力の面にも深刻な影響をおよぼしました。ていねいによりそいながら教えなければ、勉強が手につかない子どももいます。

 あるいは、競争的で人間的な温かみを欠く社会や学校のなかで、自己肯定感情が持てず、自分の苦しみを内向させたり、他者への攻撃としてあらわしたりする子どももふえています。また、発達障害がある子ども、日本語のわからない外国人の子どももいます。

 こうした子どもたちを育てるのに、1学級40人など人数の多い学級では無理があります。

 少人数学級が必要なのは小中学校だけではありません。高校でもさまざまな困難をかかえる生徒がふえています。特別支援学校や特別支援学級では、障害が多様化しています。いずれも少人数学級が急がれます。

 中教審の提言は、高校などの学級規模の縮小を見送りました。この点を見直し、小中学校に引き続いて、それ以外の学級の規模の縮小にすすむことを求めます。

 自公政権時代には、政府の経済財政諮問会議の場で、財界の委員や閣僚が「ムダだ」と少人数学級をつぶした歴史があります。その裏で大型公共事業や軍事費等の本当のムダづかいが続きました。

 昨年の総選挙で国民は自公政権を退場させました。いつまでも前政権の轍(てつ)を踏んではなりません。

 日本共産党の「緊急提案」では、30人学級等の実施にかかる経費は初年度で約2000億円と試算しています。ムダづかいの典型である米軍思いやり予算をやめれば十分まかなえる金額です。予算のムダを削り、少人数学級の財源を確保する道にすすむべきです。

政党の立場超えた共同を

 日本共産党は参議院選挙公約で30人学級の実現をかかげました。民主党は「少人数学級を推進」、社民党は「30人以下学級の早期完全達成」をかかげています。みんなの党は「少人数・体験・個性重視の教育を実現」と公約しています。

 「緊急提案」はすべての政党に、「立場の違いをこえて」少人数学級移行の流れを促進する「建設的な話し合いをおこなうこと」を呼びかけました。国民の願いにこたえた前向きな討論を期待します。

 子どもは社会の宝です。子どもを豊かに育ててこそ、日本の未来も輝きます。少人数学級の扉をあけるため、日本共産党はみなさんとともに全力をつくします。





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