2010年8月7日(土)「しんぶん赤旗」
元女性自衛官の人権裁判勝訴
防衛省に控訴断念求める
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北海道の自衛隊基地内で女性自衛官(当時20歳)が上司から性的暴力を受けた事件で、国に損害賠償を命じる判決を札幌地裁で勝ち取った原告の元女性自衛官が6日、防衛省に控訴断念と「女性自衛官を人間として認め、私と同じつらく、苦しい目にあわなくてすむよう改善してほしい」と要請しました。
要請は「女性自衛官の人権裁判を支援する会」がよびかけ、日本共産党の紙智子参院議員、福島瑞穂社民党参院議員が同席、中江公人防衛事務次官が応対しました。
原告は「3年3カ月は長く、つらかった。(自衛隊は)裁判でちゃんと答弁もせずに、誠意を感じられず、残念な思いをした」「上司に退職強要され、裁判を起こすしかなかった」とこみ上げる怒りをこらえきれず泣いて訴えました。
裁判中からも現職自衛官から同じような苦しみを打ち明けられたことをあげ、「私もこれ以上、裁判で苦しみたくない、自衛隊は判決を受け止め、自衛隊で働く人たちのためにも改善してほしい」と力を込めました。
中江次官は「判決を重く受け止め、検討していきたい」とのべるものの、謝罪の言葉はありませんでした。
同次官が今後の対応としてセクシュアルハラスメント防止教育にふれた際、原告は「事件後、セクハラ防止講座に私は加害者と同席させられた。あまりに社会常識とかけ離れている」と訴えました。
紙議員は「判決は、退職を強要した自衛隊への審判でもある。きちっと受け止めて改善することが重要であり、控訴を断念すべきだ」と強調しました。