2010年8月7日(土)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 「…ああ やれんのう、こがあな辛(つら)い目に、なんで遭(あ)わにゃあ いけんのかいのう」▼秋葉忠利市長の広島平和宣言は、被爆者の広島弁の嘆きから始まりました。「こがあな いびせえこたあ、ほかの誰にも あっちゃあいけん」。よそ行きでないつぶやきが、被爆者の真情をにじませます▼その言葉は、平和記念式典に参列する菅首相にも向けられていました。「内閣総理大臣が、被爆者の願いを真摯(しんし)に受け止め自ら行動してこそ、『核兵器ゼロ』の世界を創り出し、『0の発見』に匹敵する人類の新たな一頁を…」▼無、そして物事の出発点を意味する0。もっとも、広島型原爆の爆発も限りなく0に近い時間のできごとでした。100万分の1秒間にウラン235の原子核が次々と核分裂を起こし、エネルギーを放出する。連鎖反応です。けれど、2010年の広島・長崎では、核兵器ゼロをめざす人々の連鎖反応が起きたようです▼市民の原水爆禁止世界大会の成功。市民の声が世界を動かすとたたえた、潘基(パンギ)文(ムン)国連事務総長の講演や広島平和宣言。潘氏は、平和宣言に応じよびかけました。被爆者が生きている間にグラウンド・ゼロ(爆心地)からグローバル・ゼロ(核兵器廃絶)へ、と▼最後に、大原穣子さん『おくにことばで憲法を』から広島弁の一節を。「わたしらー日本国民は…あいての国が聞かんいうて、『おどりゃーおどりゃー、言うことォきかにゃーげんばくーぶちこんでこますどォ』言うて脅かすようなこともしません」





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp