2010年8月6日(金)「しんぶん赤旗」
米、金持ち優遇脱却へ
高所得減税延長せず
ブッシュ時代に開始 財務長官が言明
【ワシントン=西村央】ガイトナー米財務長官は4日、ワシントン市内での演説で、今年末で期限切れとなるブッシュ政権時代に始められた年収25万ドル(約2200万円)以上の高額所得者減税について、財政難が続いているなかで「必要とする処方箋(せん)ではない」として、この措置を延長しないことを表明しました。
オバマ政権が今年2月に発表した予算教書では、年収25万ドル以上の高額所得者への所得税減税の打ち切りを盛り込んでおり、ガイトナー氏のこの日の表明は、この方針に向けた政権の構えを重ねて示したものです。
かつて米国では所得税の最高税率は70%でした(1981年まで)が、ブッシュ政権時代に2度にわたって高額所得者減税が実施されました。25万ドル以上の高額所得者の所得税率は2010年までを期限とし、35%にまで引き下げられていました。
ガイトナー長官は、25万ドル以上という高額所得者は、全体の2%にすぎず、その平均所得は80万ドル(約6900万円)にも上っていると指摘。「約2%の最高額所得層の減税措置の延長は、政府にとって1年間で300億ドルもの借り入れを必要とすることになる」と述べました。
そのうえで、同じ金額を中間層向けの減税や中小企業の投資促進に使用することが、景気回復により効果的であるとの議会調査局の提案には多くのエコノミストが賛同していると述べ、ブッシュ政権時代の金持ち優遇措置から脱却する必要性を強調しました。
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