2010年8月5日(木)「しんぶん赤旗」
自民への献金急増
保険金不払い発覚後に
生保業界 大手4社は2割増
生命保険業界の政界工作問題で、保険金不払い問題が発覚した2005年以降、生命保険各社が自民党への献金額を急増させていたことがわかりました。大手4社が約2割増しにするなど各社増額しており、献金と政界工作の関係が注目されます。
不払い問題は05年に発覚。業界全体の大問題として金融庁は08年、不払い件数と金額の多い10社に業務改善命令を出しました。
改善を命じられたのは、日本、第一、明治安田、住友、大同、三井、富国、朝日の国内大手8社と、アメリカンファミリー、アリコジャパンの外資系2社です。
国内8社はいずれも自民党の政治資金団体、「国民政治協会」に献金をしたことがあり、そのうち7社は毎年、献金しています。
不払い発覚前の02年は3977万円、03年は4160万円、04年は3867万円でした。
不払いが発覚した05年には、日本生命と第一生命が前年の60万円以上を増額。翌年の06年になると、献金した7社合計で4631万円に急増します。
金融庁が、保険金の支払い漏れや案内漏れの実態調査を命じた07年には、5660万円と前年の1・2倍に。
金融庁が、業務改善命令を出した08年も5679万円の献金をしています。
問題が起きるたびに献金額が増えていったかたちです。
とくに顕著なのは、日本、第一、住友、明治安田の大手4社の急増ぶりです。05年以降は毎年のように、前年の1割から2割上乗せした額を献金しています。
08年には、日本生命が1696万円(05年、1223万円)、第一生命が1234万円(同867万円)、住友生命が951万円(同665万円)、明治安田生命が982万円(同746万円)と、大きく増やしています。
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佐々木議員、徹底究明を要求
衆院財金委
日本共産党の佐々木憲昭議員は3日、衆院財務金融委員会で、保険金不払いをめぐる生命保険業界の政界工作問題をただしました。
佐々木氏は、生保業界の政治介入によって同委員会の審議日程が変更された問題を「議会制民主主義の根本を崩す大問題だ」と糾弾。真相究明を求めるとともに、この問題の背景にある企業・団体献金の根絶を求めました。
生保業界の政界工作問題は、日本共産党の大門実紀史参院議員の質問(4月13日)で明らかになったもの。生保大手4社が自民党などの議員をランク分けし、飲食接待やパーティー券購入などで政界への介入を強めていたというものです。
業界の介入により、同委員会が2007年5月11日に実施するとした生損保業界にたいする参考人質疑の合意が与党側(山本明彦同委筆頭理事、当時)によって覆され、日程が変更された上、質疑時間も大幅に短縮された経緯があります。
佐々木氏の質問にたいし池田元久財務副大臣は「ことの本質は業界の働きかけで国会審議がゆがめられた由々しき事態であるということだ」と答弁。野田佳彦財務相は「断じて許されることではない」と答えました。
佐々木氏は、真相の徹底究明を要求。さらに、不払い問題発覚後に、生保業界から自民党への政治献金が増加している実態を示し、「問題の背景にあるのは生保業界からの政治献金だ。企業・団体献金を廃止すべきだ」と野田氏に求めました。
野田氏は「お話しのように廃止すべきだ」と答弁しました。
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