2010年8月4日(水)「しんぶん赤旗」
イラク米軍11年末完全撤退
大統領が公約強調 アフガン増派は継続
【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は2日、ジョージア州アトランタで開かれた傷痍(しょうい)軍人会全国大会で演説し、イラク駐留米軍について、公約どおり今月中に5万人規模まで減らして戦闘任務を終結させ、2011年末までにすべての部隊を撤退すると改めて強調しました。
ホワイトハウスによると、オバマ政権になってイラク駐留兵力は14万4000人から現在の8万1000人に低下。今月中にこれまでの「イラクの自由作戦」を終了して戦闘任務を終結し、あらたにイラク軍の訓練などを中心とする「新しい夜明け作戦」に移るとしています。テロリストなどを対象とした行動は継続されます。
イラクの米軍基地については、閉鎖や移管を急ぐ構えです。昨年6月時点で357あった米軍基地は、現在121にまで減少。8月中に94にまで減らすとしています。
イラク駐留米軍の装備品については、昨年1月に340万点あったものを、8月中に120万点にまで減らすとしています。多くは、アフガニスタン駐留米軍に移す計画です。
「公約を守る」とのオバマ氏の言明はイラクで再びテロ・暴力が増加する傾向をみせている中でのことです。イラク政府の7月31日の発表によると、7月だけで、396人の民間人を含む535人がテロ・暴力によって死亡しました。これは2008年5月の死者563人以来、最多です。
こうした事態にもかかわらず、イラクからの完全撤退の「公約」を守るという背景には治安が泥沼に陥っているアフガンへの兵力移動を進めるという狙いがあるとみられます。
増派をすすめているアフガン駐留米軍は、9月中に9万6000人規模にまで膨らみます。イラク、アフガン両戦争に投入している米軍兵士は、合計でオバマ政権発足当初の17万7000人から14万6000人となります。
オバマ氏は同日、「われわれのイラク関与は、軍隊による軍事的努力から外交官による民生的努力へ転換する」と述べました。