2010年8月3日(火)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
子ども虐待のニュースが、後を絶ちません。どうすれば幼い命を救うことができたのか…。事件を耳にするたび、考えずにはいられません▼3歳と1歳の子を自宅に置き去りにして死亡させ、7月末に逮捕された大阪市の母親(23)は、「子育てに悩み、すべてから逃げたかった」と供述しているといいます。かつてはインターネットのブログに、わが子へのあふれる愛情をつづっていたというのに▼厚生労働省の調査によると虐待者の6割は母親です。経済的に苦しい、孤立した子育て、家庭不和…。背景にはさまざまなストレスがあり、それが虐待の要因になっていると指摘されています▼ある母親は「子どもが泣きやまないとイライラして、ぶったりけったりしてしまう。自己嫌悪で涙が出るけれど、また同じことをしてしまう」と話しています。言うことを聞かない子どもにイライラして怒ってしまうのは、多くの親に経験があることでしょう▼しかし子どもをストレスのはけ口にして傷つける行為は、人間として許されることではありません。また「虐待は、どうしようもない親が起こすこと」と個人を批判するだけでは問題の解決にはなりません▼児童虐待防止全国ネットワークの吉田恒雄理事長は「虐待は一歩間違えれば、どの家庭でも起こりうること」と警告します。予防するために大切なことの一つが、悩みを相談できる人の存在です。民間団体の電話相談なども利用できます。1人で苦しみを抱え込んで、悲劇を繰り返さないで。