2010年8月2日(月)「しんぶん赤旗」
過労死撲滅めざす「龍基金」
企業名公表求めた遺族が受賞
寺西笑子さん
「過労死をなくそう!龍基金」は1日、東京・葛飾区のシンフォニーヒルズで、過労死撲滅と労働者の地位向上に貢献した個人や団体を表彰する第4回中島富雄賞受賞式をおこないました。受賞したのは、過労自殺の遺族で、過労死を出した企業名の公表を求め大阪労働局(国)を相手取って昨年11月に裁判を起こした寺西笑子さん(61)=京都市=です。
同基金は、「株式会社すかいらーく」に25年勤続し2004年8月15日に48歳で過労死した中島富雄さんの遺志を継ぎ、同社と団体交渉した妻・晴香さんによって解決金を原資に設立されました。これまで、「過労死110番全国ネットワーク」、マクドナルド「名ばかり店長」の高野廣志さんなどが受賞しています。
選考委員のひとり、玉木一成弁護士は「20年以上、団体や個人が過労死根絶をめざしています。しかし、過労死被害は増加している。過重な労働をつづける方が企業にとって利益が上がるからです。企業名を公表しなければ、(新卒者や労働者は)就職、転職を避けられない。寺西さんの裁判を支援する意味でも選考しました」と述べました。
受賞した寺西さんは「遺族として、二度と(過労死、過労自殺を)起こさないでほしいという思いが強くあります。国を訴えて反省させ、その向こうにいる企業に、過労死させない働かせ方を本気で考えさせることを大きな目的として活動をすすめていきたい」とあいさつしました。
日本弁護士連合会会長で反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士が「生きがい、希望のもてる社会をめざして」と題して記念講演しました。
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