2010年8月1日(日)「しんぶん赤旗」
神戸ポスター弾圧不起訴
不屈のがんばり実る
大きな支援、加藤さんを後押し
参院選のさなか、日本共産党後援会の活動で選挙ポスターを信号柱や道路標識柱に仮止めしただけで不当逮捕された神戸市西区の加藤寛治さん(65)は7月29日、釈放・不起訴をかちとり、支援の人たちと喜び合いました。この事件をふり返りました。(喜田光洋)
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事件は、参院選最終盤の9日午前6時半ころ、同区の住宅街で起きました。加藤さんがメガホン宣伝のためにポスターを信号柱などに仮止めしたところ、見張っていた私服警官がそれを見届けたうえでパトカー3台と多数の警官を呼び、「公選法違反だ」といってきました。加藤さんがポスターを外そうとすると「取ってはいけない」といって、集団でむりやりパトカーに押しこんで逮捕したのでした。
加藤さんは、逮捕・送検の後、期限いっぱいの20日間勾留されました。弁護士以外の接見は禁じられ、取り調べでは刑事が大声でどうかつするなど厳しい日々でしたが、黙秘を貫いてたたかいぬきました。
勾留中に亡くなった兄の葬儀(17日)に参列が認められないという事態まで起きました。加藤さんは右の手のひらに「兄貴」、左の手のひらに「成仏」と書いて、17日の取り調べで見せたら、刑事は一言も質問しなかったといいます。
不当逮捕・勾留共産党狙い撃ち
加藤さんの容疑は、国や自治体の管理物(電柱など除く)にポスターを掲示してはいけないとする公選法145条1項違反でした。
弁護団や国民救援会、また日本共産党は、▽本件は短時間の宣伝の間、風で飛ばないように仮止めしたにすぎず、公選法違反どころかどの政党もやっている当たり前のこと。警察の行為こそ選挙の自由妨害罪の可能性がある▽全国には、政党のポスターが信号柱などに取り付けられて長期にわたって掲示されている例が多数あるが、何ら規制されず放置されている▽違法というなら、「ここはやめてください」と注意や警告をすべきなのにせず、いきなり逮捕したのは重大――などと訴えました。
このように今回の逮捕・勾留は不当きわまりないもので、日本共産党と後援会を狙い撃ちにした計画的な弾圧であることは明らかです。
不起訴をかちとった力は、何よりも加藤さんの不屈のがんばりにありました。同時に、支援が大きく広がったことです。地検に不起訴を求めた団体署名は1200団体以上になり、無所属の地方議員や宗教者、他党支持者からも応援がありました。勾留理由開示公判には傍聴席の倍以上の二百数十人がかけつけ、裁判官は冒頭、「たくさんの方が注目していることがわかりました」と語りました。
釈放後の報告集会で、「これからも臆(おく)することなくがんばっていきたい」と語った加藤さんに、大きな拍手がおくられました。
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