2010年7月30日(金)「しんぶん赤旗」
「戦争やめて 核兵器いらない」
イラクの医師支援訴え
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湾岸戦争(1991年)とイラク戦争(2003年〜)の2度にわたり米軍の攻撃を受けたイラクでがん治療にあたる専門医2人が29日、東京都内で記者会見し、戦争被害の実態と医療支援を訴えました。
会見したのはイラク南部の「バスラ・がん調査グループ」のジャワド・アルアリ医師とオムラン・ハビブ医師。22日に来日し、各地でがん治療の意見交換やイラク戦争の実態をめぐり市民と交流してきました。
ハビブ医師は、がん患者の登録データをもとに、劣化ウラン弾が原因と思われる健康被害を調査。バスラで過去10年間(95〜05年)に乳がんが約3倍、白血病や悪性リンパ腫などが1・5〜2倍に増えたことを説明し、「今後、さらに劣化ウラン弾とがんの因果関係を科学的に証明したい」と述べました。
アルアリ医師は「戦争はやめてほしい。核兵器や劣化ウラン弾、すべての兵器はいらない」と強調。イラクのがん治療への日本政府の支援を求めました。
両医師を招いた日本イラク医療支援ネットワーク(JIM―NET)事務局長の佐藤真紀さんは、「イラク戦争の検証を求めるネットワーク」呼びかけ人の一人。日本政府のイラク派兵について第三者委員会での検証を求めている佐藤さんにハビブ医師は「正しい戦争はない」「将来、戦争は絶対、起こしてはいけない」と語りかけました。
イラク戦争検証 2003年からのイラク戦争に派兵したイギリスやオランダは09年に独立調査委員会を設置して戦争行為の検証を開始。オランダは10年1月、イラク侵攻を「国際法上の合法性を欠く」と結論、イギリスも調査を続けています。日本の民主党政権は、イラクへの自衛隊派兵を「違憲となるとは考えていない」(10年3月19日、政府答弁書)とする立場です。
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