2010年7月30日(金)「しんぶん赤旗」

普天間訴訟判決

「世界一危険」認めながら

飛行差し止め棄却不当


解説

 普天間爆音訴訟は2002年10月29日、同基地周辺住民約400人が那覇地裁沖縄支部に提訴してから約8年が経過しました。

 08年6月26日の一審判決は、同基地の爆音が受忍限度を超え、生活・睡眠妨害を生じさせ、米軍機墜落の不安感や恐怖感など精神的被害を増大させることを司法として初めて認定しました。他方、夜間・早朝の飛行差し止めは棄却し、ヘリ特有の低周波被害も認めませんでした。

 深夜・早朝や人口密集地上空での飛行制限について「日米両政府が1996年3月に合意した普天間飛行場の航空機騒音規制措置も守られ(ず)」(伊波洋一・宜野湾市長)、深夜10時からの1時間に40回の騒音を記録したことも。市が騒音測定機を設置した市内の上大謝名地区では、2000年度から3年間、騒音発生回数は毎年、約3万回に達していました。

 原告、被告双方とも08年7月に控訴しました。

 今回の判決について、原告弁護団の新垣勉団長は、積極面として(1)米軍機の発する騒音が違法であることを再度断罪(2)普天間基地特有の低周波騒音を司法として初めて認定(3)損害賠償額水準の引き上げ(4)普天間基地が「世界一危険な飛行場」という評価を初めて判決で指摘、などをあげました。

 他国(第三者)である米軍の飛行を差し止める権限がないとする「第三者行為論」を理由に、飛行差し止めを棄却したことなどについて、「政治のゆがみや誤りを憲法に照らして是正するのが司法の本来の役割だが、司法の政治にたいする遠慮と消極性が顕著にみられる」と指摘しました。(青野圭)





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