2010年7月30日(金)「しんぶん赤旗」
主張
温暖化阻止
日本は対策に本腰を入れよ
異常な猛暑が、日本だけでなく、北半球各地を見舞っています。地球温暖化のせいだと決めつけることはできませんが、人類に破滅的影響をもたらす温暖化の進行に目を向ける必要もあります。
温暖化防止策への世界的合意をめざす交渉は困難に直面しています。それだけに、各国はそれぞれが対策を最大限に強めるべきです。それが世界的な合意形成を促進する土台にもなるはずです。
続く対立の構図
世界各国が参加する国連の会議COP16(気候変動枠組み条約第16回締約国会議)が4カ月後にメキシコのカンクンで開かれます。京都議定書第1約束期間に続く2013年以降の対策の枠組みへの合意をめざします。
COP16への期待は大きいものの、そこで次期枠組みが締結できるかは不透明です。8月上旬(ドイツ・ボン)と10月(中国・天津)に開かれる作業部会でも、突破口を開くのは難しく、カンクン会議は合意形成へのステップとする見方が大勢です。その場合でも、実質的で確実な前進を遂げる必要があります。
昨年末のCOP15は、各国首脳が出席したにもかかわらず、次期枠組みへの合意に失敗しました。先進国は、温室効果ガスの排出削減でも途上国への資金・技術の支援でも、大量に排出してきた歴史的責任に見合う取り組みを求められました。途上国側も課題にふさわしい取り組みが必要です。対立の構図はいまも続いています。
積極的な動きもみられます。英独仏3国の環境相が連名で英紙に寄稿し、2020年に1990年比20%減の欧州連合(EU)目標は不十分だとし、30%減の採択を呼びかけました。
ただ、合意への見通しが厳しいなか、一部には対策への機運の薄れもみられます。米議会では、オバマ政権が推進した温室効果ガス排出削減目標を定める法案への支持が足りず、与党が法案の扱いを今秋に先延ばししたことから、成立が危ぶまれています。
日本では、先の通常国会に政府が提出した地球温暖化対策基本法案が時間切れで廃案になりました。法案はいくつもの基本的な弱点を抱えていました。
とりわけ、温室効果ガス削減の中期目標(25%減)が、全主要国の合意を前提条件としていたことは重大です。政府は主要国の参加を促進するためだと強弁しましたが、こうした条件は日本が排出削減の責任を放棄する口実にしかなりません。他国の対応にかかわらず、日本は自らの責任において野心的な削減目標を設け、実行すべきです。その姿勢こそが、各国の協調を引き出し、合意への道を開くことにもなります。
基本法案は抜本修正を
法案が産業界に削減を義務づけなかったことも問題です。環境NGO「気候ネットワーク」によれば、国内の温室効果ガス排出源は発電所や製鉄所など大規模事業所にますます集中しています。
削減対策が財界の自主行動計画にまかされ、発生源対策が進まないためです。産業界に手をつけなければ削減は進みません。政府は産業界と温室効果ガス削減の拘束力のある協定を結ぶべきです。
これらを抜本的に修正した基本法案を早期に成立させることが国際的な責任に応える道です。
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