2010年7月30日(金)「しんぶん赤旗」
女性元自衛官が勝訴
札幌地裁 基地内の性的暴力・退職強要を認定
北海道の自衛隊基地内で女性自衛官(当時20歳)が性的暴力を受けた事件で、札幌地裁(橋詰均裁判長)は29日、国に損害賠償を命じる判決を出しました。原告弁護団は「国が否認していた性暴力の事実を認め、自衛隊の事後の対応の法的責任を認めた画期的な判断」とのコメントを出しました。
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原告は、夜勤中の男性自衛官から基地内の一室で性的暴力を受け、その後、職場監督者が適切な対応を怠った上に退職を強要したと、国に慰謝料の支払いを求めて提訴。裁判所は原告の主張を全面的に認め、580万円の損害賠償を命じました。
国側は、「合意のうえでの行為」と事実を否定しましたが、裁判所は暴行の事実を認めるとともに、その後、部隊の監督者が、婦人科を受診することを困難にし、加害者の男性自衛官をその後も基地内にとどまらせ、原告に退職強要した事実などを国の違法行為と認定しました。
判決の朗読を終えた橋詰裁判長が閉廷を宣言すると、傍聴席からいっせいに拍手が起き、原告席に座っていた原告女性は涙を流しながら、深々と頭を下げました。
判決後、原告の女性は、「全国で助けを求めている自衛官がたくさんいることは事実です。私を支えてくれた人たちに最上級の感謝を伝えたいと思います」とのコメントを出しました。
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