2010年7月29日(木)「しんぶん赤旗」
「思いやり予算」
「増やせ」米が圧力
来年3月末に期限切れを迎え、22日に継続の交渉が始まった米軍「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)特別協定をめぐり、米側から増額要求が強まっています。
軍事費増も要求
グレグソン米国防次官補(アジア太平洋担当)は27日、米下院軍事委員会の公聴会に提出した書面で、「思いやり予算」は「日米同盟の戦略的な柱」であると指摘。(1)「思いやり予算」の対象になっている日本人従業員の給与や役務などは日本経済に還元されている(2)在日米軍が提供する抑止力により、日本の防衛費はGDP(国内総生産)比1%未満で済んでいる―ことを挙げ、「日本は防衛支出総額とともに、駐留経費負担のレベルを引き上げるべきだ」と、軍事費と「思いやり予算」の増額を要求しました。
特別協定が前提
一方、日本側は従業員の労務費(基本給)、米軍基地の水光熱費、訓練移転費を対象とする「思いやり予算」特別協定に加え、それ以外の部分―労務費の格差給、福利厚生費などについても減額を求める方針です。
民主党政権は27日に決定した概算要求基準で、各省庁に今年度比で原則1割カットを定めました。財務省は、軍事費に占める米軍関係経費が年々、増大していることから、縮減と上限の設定を求めています。
民主党はもともと、地位協定上も支払い義務のない「思いやり予算」を際限なく拡大する特別協定そのものに反対。その結果、2008年には参院で現行協定が否決された経緯があります。
しかし、現在は「米側との交渉では、特別協定の存続を前提として、縮減を求めていく」(外務省)との方針に変わっています。
野党時代から大きく後退した姿勢で、米側の強硬姿勢にどれだけ抗することができるのか。交渉のゆくえが注目されます。