2010年7月28日(水)「しんぶん赤旗」
秋葉原殺傷
「ネット掲示板に依存」
東京地裁 弁護側質問に被告
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件(2008年6月)の元派遣社員、加藤智大(ともひろ)被告(27)の公判が東京地裁(村山浩昭裁判長)であり、弁護側被告人質問が行われました。
加藤被告は「インターネット掲示板での『なりすまし』や『荒らし行為』にあい、そのことに怒っていることをアピールしたかった。嫌がらせをしていた人に知らせ、本当にやめてほしいということを伝えたかった」ことが事件を起こした動機だと述べました。
「掲示板は大切な場所」「ネットは本音社会。自分が自分でいられる場所だった」と話し、「掲示板に依存していた生活」が事件を起こした一つだと話しました。
同被告は、埼玉県の自動車工場や住宅メーカーの筑波工場に派遣で働いていた時、孤独感が強く自殺未遂を起こしたことを明らかにしました。
「言葉ではなく行動で示して分からせる自分の物の考え方」は、母親の育て方の影響があったと語り、「食事が遅いと床にチラシを置いてご飯をぶちまかれ、それを食べなさいと言われた」ことや、泣くと口にタオルを入れられて粘着テープを張られるなどされた体験を証言しました。
また、約束を守らない母親への当てつけに大学に進学しなかったことや、奨学金を父が使ってしまったために短大であえて整備士の資格を取らなかったことなど、行動で意思を伝えようとすることを「いつものパターン」と表現。卒業後も、職場で不満を感じるたびに突然いなくなるなどの行動を繰り返し、職を転々としていたと説明しました。
被告人質問に先立ち、8、9の両日に行われた被告の両親に対する非公開の証人尋問の内容が朗読されました。
母親は「幼いころ屋根裏に閉じこめた」「2階から落とすまねをした」と証言。「しつけの一環で不満のはけ口ではなかった」と語っている要旨が読み上げられました。父親は「(妻が)茶わんをひっくり返して食べさせていたことなど異常と思っていたが何も言わなかった」と語りました。両親ともに「なぜこの事件が起きたのか分かりません。経済的に賠償はできない」と語っていることが明らかにされました。
秋葉原無差別殺傷事件 派遣社員だった加藤智大被告が、トヨタ 自動車の下請け会社で働いていたとき、職場でトラブルを起こして、歩行者天国の東京・秋葉原に行き2トントラックでまったく無関係の歩行者を次々にはねました。その後、12人をダガーナイフで刺し、7人を殺傷、10人に重軽傷を負わせた事件。携帯サイトの掲示板に事件を予告。進行をネットに書き込みました。事件後、歩行者天国は中止になりました。