2010年7月28日(水)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
先日、「初めて日傘をさした」と書きました。後日、横浜市の男性から「私も生まれて初めて日傘をさしました」とのお便りをいただきました▼記者より1日早く日傘を使い始めた男性は、74歳。亡くなったお父さんは、傘をさし、パナマ帽から靴まで白ずくめのいでたちで、夏の横浜の街を歩いていたとか。男性は、「男の日傘」ができてもよいのではと思っていたところ、店でみつけ早速買い求めました▼はがきは、こう結ばれていました。「今年は、猛暑だしひょっとすると『男の日傘元年』と言われる年になるかもしれませんね」。うなずけます。記者自身、昼は日傘を重宝し、夜は家の窓という窓を開け放ち、なんとか暑さをしのいでいるありさまですから▼しかし、熱中症の痛ましい犠牲はあとを絶ちません。屋内での被害が目立ちます。埼玉県川口市で亡くなった70代男性は、クーラーをつけず雨戸も固く閉じていました。神奈川県相模原市の50代女性は、クーラーのないアパートの部屋を閉め切っていました▼お年寄りに多い、独り暮らしや体が不自由な人。クーラーつきの部屋に住めない。クーラーがあっても家計の事情でつけられない…。重症になりやすい人たちです。体内に熱がこもってしまうのに部屋を閉め切るのは、独り暮らしの不安からでしょうか▼欧米や途上国でも、老人や路上生活者が多く倒れる熱中症。地震などと同様、「災害弱者」とよばれる人たちの危険をどう除くか。手をこまぬいている時は過ぎました。