2010年7月28日(水)「しんぶん赤旗」
在沖海兵隊 グアム移転3年延期
米海軍アセス報告書で提言
米海軍の統合グアム計画室(JGPO)は27日、在沖縄米海兵隊8000人と家族9000人のグアム「移転」などに伴う環境影響評価(アセスメント)の最終報告書を公表しました。
在日米軍再編合意では2014年までの「移転」完了が明記されていますが、最終報告書は、急激な人口増加に対応できるインフラがグアムに整備されていないとして、(1)沖縄からの海兵隊員「移転」完了を2017年まで延期する(2)海兵隊新基地の工期を最大2年延長する―の2案を提示しました。
米海軍の推計によると、米軍関係者だけで10年の5646人から14年に4万6052人に、基地建設工事などに関連する労働者などを含めた総数で、10年の1万1038人から14年には7万9178人まで激増します。
しかし、これらを受け入れる住宅や電力、上下水道などの整備費が計上されていないため、グアム当局では急激な軍増強への反発が強まっていました。
報告書は、これら2案は「米国防総省の立場を代表してはいない」とも記しています。最終的に、オバマ大統領が承認すれば、報告書に基づいた計画が実行されます。
北沢俊美防衛相は27日、記者団に対し、「米国の事情であり、こちらも(普天間基地「移転」の)代替案がずれ込んでいるので、これからの協議にかかってくる」と述べるにとどまりました。
解説
移転費直ちに凍結を
日本では、住民の強い反対で、米海兵隊普天間基地「移転」に伴う新基地建設計画の動きが食い止められていますが、グアムでも新基地建設計画が深刻な矛盾に直面していることを、米海軍が公式に認めたものです。
在日米軍再編計画では、普天間基地「移転」とグアムへの海兵隊「移転」は、相互に関連しているとしています。米側がゆきづまりを認めたことからいっても、日本政府が辺野古への新基地建設で突っ走ることはなおさら認められません。
日本政府は昨年から、米側にグアム「移転」経費の支払いを開始していますが、ただちに凍結すべきです。(竹下 岳)