2010年7月26日(月)「しんぶん赤旗」
クラスター爆弾禁止
8月1日条約発効へ
未署名国への圧力も
非人道兵器のクラスター爆弾の製造・保有・使用などをほぼ全面的に禁じる条約が8月1日に発効します。有志国が集まり、非政府組織(NGO)と協力して交渉するという「オスロ・プロセス」を通じてできた条約には約100カ国が署名。今年2月に批准国が30カ国に達し、半年後の発効にこぎつけました。今後、米国やロシア、中国など未署名国に対する国際的な圧力が重要となります。
クラスター爆弾禁止条約は、同爆弾の使用、開発、製造、入手、貯蔵、保有、移転を禁止。締約国は原則8年以内に保有する同爆弾を廃棄する義務を負います。一部「例外」を認める規定を設けてはいますが、現存のクラスター爆弾の99%が禁止の対象となります。爆弾の被害者を支援することも盛り込んでいます。
世界各地の紛争で多用され、100万人をはるかに上回る民間人が犠牲になっています。こうした非人道兵器が条約で原則禁止されることは重要です。
ところが同爆弾の軍事上の「有用性」を主張する米国やロシア、中国、イスラエル、韓国、北朝鮮などは禁止条約にまだ署名していません。
そうしたなか、禁止条約への署名・批准を求める国際的な声もあがっています。
欧州議会は今月8日、欧州連合(EU)加盟国に対し、禁止条約への署名・批准を求める決議を採択しました。EU27カ国中、署名国は20、批准国はまだ11にとどまっています。
EUのアシュトン外交安全保障上級代表(外相)は同議会で、EUはクラスター爆弾の「全面禁止」を約束していると訴えました。
米オレゴン州ポートランドでは、イラク戦争で使用された同爆弾の除去作業中に爆死したイラク派遣米兵の母親の呼び掛けで、8月1日に市内の公園で同爆弾禁止をアピールする集会が予定されています。
11月にはラオスの首都ビエンチャンで、第1回締約国会議が開かれる予定です。爆弾廃棄などに関する各国の報告や犠牲者支援の在り方を議論します。(山崎伸治)
クラスター爆弾 1個の親爆弾から多数の子爆弾が飛散して大きな被害を及ぼし、さらに不発のまま地上に残った子爆弾も、拾ったり踏みつけたりした途端爆発します。使いやすいという理由で日本を含む多くの国が保有しています。第2次世界大戦で初めて使用され、ベトナム戦争やイラク戦争、イスラエルのガザ地区侵攻(2008年末〜09年初め)、08年のグルジア紛争でも使われました。