2010年7月26日(月)「しんぶん赤旗」

中国 最賃引き上げ加速

政府 格差是正を表明
労働者 賃上げ求めスト


 中国の人力資源社会保障省は23日、今年上半期に33の行政区のうち23が最低賃金の引き上げを決めたと発表しました。これには7月からの引き上げを決めた北京などが含まれています。(北京=小寺松雄)


 一番高いのは上海市で月1120元(約1万4560円)。時給の最高は北京で11元(約140円)です。

 引き上げ幅も大きくなっており、北京は月800元から960元へと20%、海南省の一部地域は42%の引き上げになっています。7月に入ってからも、遼寧省大連市で29%の引き上げが発表されました。

 一連の最低賃金引き上げは、中国政府が明確な方針として「労働者への分配を高める」と打ち出したことが大きな要因です。

 今年3月、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の政府報告で、温家宝首相は「国民所得分配における勤労報酬の割合を逐次引き上げる」と表明。大会後の記者会見でも「収入分配の不公正是正に努める」と述べました。

 このこともあって、全人代後に各直轄市・省などの最低賃金引き上げが集中しました。

 さらに今年上半期は、各地で賃金引き上げを正面に掲げたストや争議が多発。これが最低賃金引き上げの流れを強める要因になっています。

 広東省の日系企業ホンダでの5、6月のストは、「省の最低賃金(1000元)前後という現状から改善を」と求めたものでした。約370元の賃上げが実現したことで、全国的にも最賃引き上げの流れが加速しました。

 一連のストについて国営新華社通信は「社会の富が増えているのに、労働者の所得の総量は小さく、伸びは遅い」と警鐘を鳴らし、賃金引き上げの流れを後押ししました。





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