2010年7月26日(月)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 「たいへん感動しました。いまの時代にぴったりの内容。いかに国の政治が私達貧しい者、年老いた者にとってお粗末であるか、痛感しました」▼東京都内で映画「いのちの山河〜日本の青空II」をみた、77歳の女性の感想です。彼女はがんを患っています。夫は84歳。やはりがん患者で、要介護5の認知症です。夫は、治る見込みがないというので、医療機関に入院できません▼訪問介護の世話になっていますが、介護施設の人手は足りず、夫婦の自己負担にも限りがあります。戦後4年以上シベリアに抑留された夫に、国は補償もしてきませんでした。老々介護の日々。「薄氷を踏む思いですごしています」▼「いのちの山河」は、50年前に全国に先がけて老人と乳児の医療費を無料にした、岩手県沢内村の村長と村民のたたかいを描きます。昨年10月の公開以来、全国352会場で自主上映を成功させ、さらに71会場で上映が決まっています。津々浦々に、「命に格差はない。あってはならない」の訴えが響きます▼政府が、後期高齢者医療制度を「改革」するそうです。75歳以上の人を差別する制度の廃止は、民主党の公約でした。しかし厚生労働省の案をみると、どこが「廃止」なのか疑います。国民健康保険に高齢者の枠を設けて加入させる、というのですから▼“長生きは社会に迷惑だ”といわんばかりの別枠あつかいは、いまと変わりません。あえて、もう一度書きましょう。「命に格差はない。あってはならない」と。





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