2010年7月25日(日)「しんぶん赤旗」
「土用の丑」目前なのに
国産ウナギ足りない
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今年の国産ウナギは、稚魚のシラスウナギの不漁で極端な品薄になっています。このため、7月26日の「土用の丑(うし)」に間に合わず、関係者に困惑が広がっています。
国内で生産量が一番多い愛知県。同県の豊橋養鰻漁業協同組合の組合長、河辺義昭さん(68)はいいます。
「今年はシラスウナギが前年の7割しか入手できなかった。その値段も休業したいほど高騰し、入荷も例年より50日ぐらい遅れた。このため、うちの養殖池で成長したウナギの出荷は、来月半ばになり、土用の丑に間に合いません」
ウナギの消費と生産者価格は例年、土用の丑をピークに、8月になると大幅に落ち込みます。
河辺さんは「消費者が購入するウナギは、スーパーでは産地表示をしているが、専門店などでは表示する義務がない。これでは最大の需要期に、輸入ものに押されてしまう」と心配します。
東京都江東区でウナギ専門店を経営する男性(60)は「国産の活鰻(かつまん、生きたウナギのこと)の仕入れ値は、昨年より1割上がった。でも店頭の『うな重』などの値段は1食1900円〜2600円で据え置いたまま。このご時世で消費者の負担を増やせません」と嘆きます。
一方、輸入ウナギで、消費者に攻勢をかけているのは「吉野家」などのファストフード店。「うな丼」1食500円前後で提供していますが、店舗では産地表示はありません。本店に問い合わせてやっと「うちは中国産です」(吉野家)という答えが返ってくるだけ。消費者はどう見分ければいいのか、迷っています。