2010年7月23日(金)「しんぶん赤旗」
みんなの党 あおる「構造改革」
危険な“接点”求め秋波 民主党
参院選での議席増を受け、みんなの党は、政策や争点ごとの「クロス(交差)連合」(渡辺喜美代表)を模索しています。また、「独立行政法人の全廃」を含む「『行革・無駄遣い解消のための与野党協議会』を」(江田憲司幹事長)と主張。一方、参院での与党過半数割れに追い込まれた民主党は、みんなの党に秋波をおくり、“危険な接点”を探っています。
「行革」
「増税の前にやるべきことがある」――参院選で、みんなの党はこう訴えましたが、同党が「やるべきこと」として挙げていることには、大きな問題が含まれています。
中心点は「大きな政府を小さく圧縮して、民間でできることは民間で、地方にできることは地方に」(渡辺代表)というもの。貧困と格差を極限まで拡大した小泉「構造改革」の象徴的スローガン「小さな政府」の立場とまったく同じです。
渡辺代表は今後の国会で、「矢継ぎ早にいろんな(法案を)提案していく」「与党、野党に提案することによってクロス連合ができたらいい」(17日の民放番組)と発言していますが、提出を準備しているという主な法案は次のようなものです。
▽政権党による幹部職員人事への恣意(しい)的な介入を合法化する「霞が関改革」法案(前国会では自民党と共同提出)▽強権的国家づくりをすすめる「国家戦略局の政治主導」法案▽問題噴出の「郵政民営化路線」への「復帰」法案▽通貨供給量の拡大をにらんでの「デフレ脱却」法案…。
消費税
政府・民主党は、「公務員制度改革」を糸口にみんなの党との連携を模索しています。
みんなの党は、参院選の公約(「アジェンダ」)で、国家公務員「現在31万人」の「10万人削減」など、公共サービスを投げ捨てる「国家のリストラ」を掲げています。
公務員制度改革担当相の玄葉光一郎・民主党政調会長は、「公務員制度改革についての考え方は、みんなの党と方向性は一致している。歩み寄れる余地はあるのではないか」(13日の会見)などと発言しました。
さらに、民主党の細野豪志幹事長代理は18日の民放番組で、「公務員制度改革は、消費税(増税)の問題に入る入り口で、やっぱり『そういうことをしっかりせよ』というのが民意だと思う」と述べ、この問題での連携を、消費税増税のための協議に入る前の入り口として位置づける姿勢を示しました。
これに対しては、みんなの党の江田幹事長も、「無駄遣いで出た財源を差し引いて『あとどのくらい足りないから、じゃあ消費税だ』という議論ならまだわかる」と応じています。
ここからは、国民にとって必要なサービスの低下をもたらす野放図な「行革」があおられた末、消費税増税というシナリオが透けて見えてきます。
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