2010年7月21日(水)「しんぶん赤旗」
原爆症認定6人中2人
長崎地裁判決 原告「救済に逆行」
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厚生労働大臣による認定申請の却下処分の取り消しなどを求める原爆症認定集団訴訟長崎訴訟で20日、長崎地裁(須田啓之裁判長)は6人の原告のうち4人の請求を棄却する判決を出しました。原告団は控訴せず、裁判は終結します。
判決は、2001年5月25日付の「原爆症認定に関する審査の方針」(「旧審査の方針」)について、放射線の推定で「過小評価の可能性が否定できない」と指摘。放射線影響研究所の疫学調査も同様で、「機械的に適用することは相当ではない」としました。
そのうえで、原告のうち森田輝男さん(変形性脊椎=せきつい=症)と栗原芙美惠さん(右小脳橋角部腫瘍=しゅよう=)について「放射性起因性が認められる」として、国の却下処分を取り消すよう命じました。
しかし、ほかの4人について、国の処分には「判断を誤った違法は認められない」として棄却。認定審査に旧審査の方針を適用したことや、審査の遅れについても違法性を認めませんでした。
原告団と弁護団、支援する会・長崎は声明で、判決は「被爆者救済へ向けての大きな潮流に逆行」し、「被爆の実相を理解していない」と強く批判。厚労省が判決の水準を無視した却下処分を繰り返し、被爆者を切り捨てていることを示し、「被爆者援護法の改正を含む被爆者救済のため全力を尽くす」としています。