2010年7月20日(火)「しんぶん赤旗」

民主党 深まる閉そく感

菅首相の求心力 弱まるばかり


 参院選に大敗した菅政権が、2011年度予算の概算要求基準をまとめようとしています。政権発足にあわせて民主党内に復活させた政策調査会(政調)で意見をまとめ、政府の予算編成作業に反映させる段取りですが、16日の党政調拡大役員会で終始したのは参院選総括の議論。大敗要因となった菅直人首相の消費税増税発言は選挙後の党内と政権運営に矛盾を広げています。

 「なぜ昨年の総選挙マニフェスト(政権公約)を変えたのか、という問題に議論は集中した。とくに、(菅首相が)消費税増税を突然打ち出したことだ。党内議論もなしにそんなことをすれば、『ウソつき』といわれても仕方なかった」。拡大役員会の議論に参加した議員の一人はこう語ります。

 総選挙で「任期中は消費税は上げない」(鳩山由紀夫前首相)とする立場から「消費税を含む税制抜本改革の超党派協議の開始」へと公約を一変させた菅首相。同党のある参院議員は「たしかに菅マニフェストは鳩山マニフェストとはまったく違うものだが、個人的には鳩山マニフェストに何の未練もない。現在の民主党の行き詰まりの根源には、これまでのマニフェストの財源論のでたらめさがある」と述べ、消費税増税に財源を求めた政策の変更・修正を進めざるをえないと強調します。

 しかし、「消費税の問題で今年度中に案を決めるなんてことは、選挙の結果をみればもう無理だ。まず党内で認識を一致させることが先。参院選は菅さんの一人相撲だった」(前出の参院議員)と肩を落とします。

 16日に続投への意欲を示したとされる菅首相ですが、求心力は弱まるばかり。党衆院議員の一人は「菅首相が相手では、どの党も連携の議論はできない。党内も菅首相で次の選挙をたたかう方向はでてこない。人事(代表選)で体制を刷新することが先決だ。ただだれがやるのか、政権運営の枠組みがどうなるかは不透明」と閉そく感をにじませます。

 菅首相は、昨年の政権交代時に「政治主導」の目玉として掲げた「国家戦略局」の設置構想も断念せざるをえなくなっています。

 こうした動きを受け、「国会で何も決められない。党、政権として、何をするかも明確に定まらない。もう末期的だ」(同党関係者)という声も聞かれ始めました。(中祖寅一)





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