2010年7月19日(月)「しんぶん赤旗」

香港初の最低賃金制

政令案可決 2年ごとに見直し


 香港立法会(議会)は17日、香港で初めての最低賃金制度を法制化する政令案を可決しました。特別行政区政府が提案したもので、最低賃金額を2年ごとに見直します。労組側は1年ごとの見直しを求めていました。

 最低賃金額は経営者と労働組合の代表や学者、有識者で構成する最低賃金委員会が8月末までに決定した上で、来年5月にも政令が施行される予定です。

 労組の多くは最低賃金について、時給33香港ドル(約363円)を要求。これに対し香港経営者連盟は、「競争力維持のために、時給を24香港ドル(約264円)以下に抑えるべきだ」と主張しています。

 立法会での最低賃金の金額をめぐる論議では、24香港ドルから35香港ドル(約385円)までの金額が提案されました。

 香港ではこの数年、飲食業や流通業の時給が20香港ドル(約220円)前後で推移し、物価や家賃の上昇で負担増を強いられる労働者の不満が高まっていました。

 1997年に中国に復帰するまで英国の植民地だった香港では、経済は「自由放任主義」が原則とされていました。労働者の雇用契約や賃金、休日、契約解除などを規定する雇用政令はありましたが、最低賃金制度は確立されていませんでした。

 しかし、97年から98年にかけてのアジア金融危機を契機に、労組が最低賃金制度の法制化を求める運動を開始。選挙を通じて立法会にも労組の代表が進出する中で、政府が政令案を提出するに至りました。(宮崎清明)


 香港の労働基本権 香港が中国に復帰した際に制定された香港基本法は、「住民は、言論、報道、出版の自由、結社、集会、行進、デモの自由、労働組合を組織し、これに参加し、ストライキを行う権利と自由を享有する」(第27条)と規定。国際労働機関(ILO)条約については、憲章や六つの基本条約を含む41の条約が適用されています。





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